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□水戸・桜木との出会い
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綾のクラスは1年10組。
指定された自分の席に腰掛け、辺りを見渡していると‥‥
「あっ…!」
先ほど校舎の前で出会った、高身長の彼が‥‥
が、春の気候がそうさせるのか‥
当の本人は気持ち良さそうに熟睡していた。春眠暁を覚えずとは言ったものである。
( え、同じ1年生だったんだ!
でも入学当日から寝伏してるなんて…肝が据わっていると言うか何と言うか… )
そして‥後ろの席には赤い髪の男子と、隣にはリーゼント頭の " いかにも不良です " と言った雰囲気の人物も。
( ちょっとコワイなぁ…
いやいやっ!人を見かけで判断しちゃダメだよね。
それに、このままじゃいけない…!
自分から積極的に行かなきゃ、楽しい高校生活をエンジョイするんだもん! )
自問自答の末、綾は勇気を振り絞り、彼等に思い切って話しかけてみた。
「あっ…あのっ!」
「ん?」
「あのっ、わたしっ… 春野綾って言います!よろしくお願いしますっっ…!!」
お辞儀をしながら、精一杯の気持ちを伝えた。
ドキドキ‥
「えっ?あ、あぁ。俺は水戸洋平。
こちらこそよろしくな。
で、こっちの奴は桜木花道。俺のツレだ。」
「綾さんっっ…!ぼっ、僕はただいまゴショーカイにあずかりました、桜木花道ですっっっ!
よろしくっス…!!」
「水戸くん…と、桜木…くん?」
「なぁーにが僕だ。らしくもねぇ。慣れない言葉使いやがって。
ほんと、花道は可愛い女子の前ではタジタジだよなぁ。」
「!? え…そんな事ないよ…」
彼の言葉に、綾は顔を真っ赤に染める。
「なっ…!? 洋平!何言ってやがる!
ほっ…ほら、綾さんが困ってるだろーが!!」
「大丈夫だよ。
それより二人とも、私と友達になってくれるかな……?」
「「…!?」」
「…あぁ、もちろん。と言うか、ダチってのは作るんじゃなく自然に出来るモンだと思うぜ。なぁ、花道?」
「俺もそう思いますよ、綾さん!
この桜木花道が友達以上、いえ、あなたのボディーガードになって差し上げますよ!」
「ぼっ…ボディーガードぉ!?
なんだそりゃ、相変わらずおもしれー奴。
春野さん、コイツの言う事なんて耳傾けなくても良いからね。アホだから。」
「うっ、うん…
でも、ありがとう!すっごく嬉しい…!
二人ともとってもイイ人だね。
桜木くんがボディーガードかぁ、すごく頼もしいね。
じゃあ、よろしくお願いね!」
綾は満面の笑みを向けた。
(( …!可愛いな… ))
( こりゃー参ったな…惚れんなよ、花道。)
( …じーーん……入学して良かった… )
( ダメだ、こりゃ… )
「チッ…」
先ほどまで熟睡していた流川だったが、教室の隅で騒いでいた三人のおかげで目が覚めてしまった。
彼女が同じクラスだと知り、気になって見ていれば周りには野郎が二人。
そしてとても嬉しそうな彼女の表情‥
心中面白くはない。
思わず舌打ちを打ってしまった。
( どあほぅが三人…… )
入学後、初めての男友達が出来、幸先の良いスタートを切れた綾は嬉しくて堪らなかったのだった。