long

□水戸・桜木との出会い
1ページ/1ページ


綾のクラスは1年10組。
指定された自分の席に腰掛け、辺りを見渡していると‥‥


「あっ…!」


先ほど校舎の前で出会った、高身長の彼が‥‥

が、春の気候がそうさせるのか‥
当の本人は気持ち良さそうに熟睡していた。春眠暁を覚えずとは言ったものである。


( え、同じ1年生だったんだ!

でも入学当日から寝伏してるなんて…肝が据わっていると言うか何と言うか… )


そして‥後ろの席には赤い髪の男子と、隣にはリーゼント頭の " いかにも不良です " と言った雰囲気の人物も。


( ちょっとコワイなぁ…

いやいやっ!人を見かけで判断しちゃダメだよね。
それに、このままじゃいけない…!
自分から積極的に行かなきゃ、楽しい高校生活をエンジョイするんだもん! )


自問自答の末、綾は勇気を振り絞り、彼等に思い切って話しかけてみた。

「あっ…あのっ!」

「ん?」


「あのっ、わたしっ… 春野綾って言います!よろしくお願いしますっっ…!!」


お辞儀をしながら、精一杯の気持ちを伝えた。

ドキドキ‥


「えっ?あ、あぁ。俺は水戸洋平。
こちらこそよろしくな。
で、こっちの奴は桜木花道。俺のツレだ。」

「綾さんっっ…!ぼっ、僕はただいまゴショーカイにあずかりました、桜木花道ですっっっ!
よろしくっス…!!」


「水戸くん…と、桜木…くん?」


「なぁーにが僕だ。らしくもねぇ。慣れない言葉使いやがって。
ほんと、花道は可愛い女子の前ではタジタジだよなぁ。」


「!? え…そんな事ないよ…」

彼の言葉に、綾は顔を真っ赤に染める。

「なっ…!? 洋平!何言ってやがる!
ほっ…ほら、綾さんが困ってるだろーが!!」


「大丈夫だよ。
それより二人とも、私と友達になってくれるかな……?」


「「…!?」」


「…あぁ、もちろん。と言うか、ダチってのは作るんじゃなく自然に出来るモンだと思うぜ。なぁ、花道?」
 
「俺もそう思いますよ、綾さん!
この桜木花道が友達以上、いえ、あなたのボディーガードになって差し上げますよ!」


「ぼっ…ボディーガードぉ!?
なんだそりゃ、相変わらずおもしれー奴。
春野さん、コイツの言う事なんて耳傾けなくても良いからね。アホだから。」


「うっ、うん…
でも、ありがとう!すっごく嬉しい…!
二人ともとってもイイ人だね。

桜木くんがボディーガードかぁ、すごく頼もしいね。
じゃあ、よろしくお願いね!」


綾は満面の笑みを向けた。


(( …!可愛いな… ))


( こりゃー参ったな…惚れんなよ、花道。)

( …じーーん……入学して良かった… )

( ダメだ、こりゃ… )


「チッ…」


先ほどまで熟睡していた流川だったが、教室の隅で騒いでいた三人のおかげで目が覚めてしまった。
彼女が同じクラスだと知り、気になって見ていれば周りには野郎が二人。

そしてとても嬉しそうな彼女の表情‥
心中面白くはない。
思わず舌打ちを打ってしまった。


( どあほぅが三人…… )


入学後、初めての男友達が出来、幸先の良いスタートを切れた綾は嬉しくて堪らなかったのだった。
次の章へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ