続いてる夢
□彼女のコーヒー(彼女の気持ち)
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食糧庫でゴキブリにビビって(っていうか、騙されたんだけど)うっかりマルコに抱き着いたらそのまま抱きしめられた。最初は何が起きてるのかわからなかったが、状況を理解して何をしてるんだと抗議をすると
「惚れたよい。」
って声が頭の上から聞こえた。
「は?」
そう言って見上げると、マルコがまっすぐに私を見下ろして
「好きだ。」
と言った。
「…。」
無言の私にマルコは眉間に皺を寄せた。
「聞いてんのかよい。」
「き、聞いてるけど…。」
「告白されたんだ。なんか返事しろい。」
「いや、でも、わ、私?」
「この状況でおまえ以外に誰がいるんだよい。」
「そ、そりゃそうだけど…。私だよ?」
「だからどうだってんだよい。」
「マルコ、頭おかしい?」
「…。」
思いっきり不機嫌そうにマルコが私を見下ろした。
「いてっ!」
片方の腕はまだ私の背中に回ったまま、もう一方の手で頭をはたかれた。
「人を狂ったみたいに言うない。」
「だって…。って言うか!いつまで触ってんの?!」
傍と気が付いて再び抗議をすると、マルコはニヤッと笑った。
「抱きついてきたのはおまえだよい。」
「んなっ!」
慌ててマルコの胸を押して離れようとするが、マルコは再び両方の腕でがっちりと私を抱きしめると、声を出して笑いながら
「可愛いよい。」
なんて言う。
「嘘!絶対からかってるでしょっ!」
「からかってねぇよい。あー、可愛い、可愛い。」
「ちょ、ちょっと!苦しいよっ!」
容赦なく巻き付く腕に身動きも取れず、後頭部を抑え込まれておでこをぐりぐりとマルコの胸に押し付けられているこの状態はもはや抱きしめられているというよりいじめられている気分だ。
ひとしきり笑ってからマルコは私を見下ろすと
「冗談でもなんでもねぇ。真剣に考えといてくれよい。」
と言って、私の頭をポンポンと叩くと、酒瓶を一本取って食糧庫から出て行った。