短い夢@

□いろんな隊長
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翌日、モビーでお昼ご飯を食べてからナース達4人と一緒に街に繰り出した。そこには例の新人ナースもいた。一瞬あっちも私が気を遣うそぶりを見せたが、歩きながら話をしていると見た目だけじゃなくて、性格もなかなかいい子だということがわかった。とにかくかわいいのだ。

(…こりゃ、男どもはイチコロだな。…きっと、マルコ隊長も。)
これで今日の占いで嫌なこと言われたら再起不能になるかもしれない、なんて思いながらナースたちについて行くと、

「もうちょっと先みたいなんだけど…。」
と言って、先頭を歩いてナースが薄暗い裏路地の手前で止まった。

「ここ、入るの?」

「うん…。」
すでに表通りから一本狭い道に入っている。昼間だが人通りも少ない。嫌な予感しかしなかった。

「その占い師の情報は間違いないの?」

「酒場にいた水商売のお姉さんから聞いたのよね。」

(つまり、地元の人間か…。よそ者が入って大丈夫なのかな…。)
もう一度あたりを見回すが、誰もいない。

「ねぇ。とりあえずちょっと覗いてみない?やばそうだったらすぐに引き返すから。」
そう言われて静かに頷くと、ナースたちは路地に入っていった。1区画分くらい歩いたところで雰囲気はますます悪くなっていた。

「ねぇ。もうこれ以上先ならやめない?危ないよ。」
後ろからそう声をかけると、

「えっと…。待って、あの角を曲がったらすぐだと思うの。」

「え?あそこまで行くの?帰りもこの道を戻るんだよ?やめた方がいいよ。」

「すぐそこだから、ちょっと見るだけ、ね?」

「え?ちょっと!」
慌てて地図を持って先頭を歩くナースを止めようとした時だった。

「どうしたんだ?ねぇちゃんたち。」

「何か困ってるなら手伝うぜ?」
私たちの前にガラの悪そうな男が2人、立ちはだかった。

「あ…。こ、この先に有名な占い師がいるって聞いて…。」
ナースの一人がそう応えると

「あ?占い師?知らねぇなぁ。そんな詐欺みたいなのじゃなくて、オレ達と遊ぼうぜ。」

「別嬪さんぞろいじゃねぇか。占いなんかしなくったって、何の問題もねぇだろ?」
男たちがそう言うと、近くにあった薄汚い建物のドアが開いて、中からさらに男たちが出てきた。じりじりと詰め寄ってくる男たちに、ナース達も後ずさる。私は後ろにまだ逃げ道があることを確認すると、近くにいた一人に目配せをした。すぐに、先頭にいたナースの服を掴んで後ろに引っ張ると、

「逃げてっ!」
と怒鳴ってから男たちの前に立ちはだかった。

「振り返らないで走って!仲間を呼んできてっ!」

「ちっ!逃がすなっ!」
咄嗟に足を出してナースたちの後を追おうとした男の足を引っかけると、その男が豪快に転んだ。

「てめぇっ!」
すかさず腰に下げていたダガーを両手に構える。

「ちょっとはやるみてぇだが…。この人数に勝てると思ってるのか?」

「おいおい。殺すんじゃねぇぞ。死んじまったらこの後面白くねぇからな。」

(きっと、誰かが助けに来てくれる。とりあえず、それまで持ちこたえないと…。)
幸い路地が狭かったこともあって、一度に全員を相手にしなくてよかったから少しずつ後退しながらその場をしのいでいた。とは言え、人数が圧倒的に多い。次第に息も上がって限界が見えてきた。

(お願いっ!誰か、早くっ!)
そう思った瞬間だった、

「捕まえたぞっ!」
いきなり背後から首に腕を回された。

(くそっ!前に気を取られてたから…っ!)
きっとその辺りの建物を抜けて、一旦表に出た奴が回り込んできたんだろう。私は完全に動きを封じられてしまった。

「手間かけさせやがって。大人しくしやがれっ!」
ほっぺたに衝撃が走って頭がくらくらした。平手打ちされたのだ。そのまま髪の毛を鷲掴みにされて、上を向かされる。

「おい、こいつの仲間が来るかもしれねぇ。中に連れ込め。」
私の髪の毛を掴んだ奴の横に立っていた男が、周りを見回しながらそう言った。

「ちっ。」
男が舌打ちをして掴んでいた髪の毛を離してから私の腕を掴もうとした瞬間、持っていたダガーを思いっきり投げた。

「ぐあぁっ!」

「このアマっ!」
投げたダガーが男の肩に刺さる。次の瞬間、負傷していない方の男のケリが私の腹部を襲った。

「ぐっ!」
声にならない声を上げて、その場にうずくまると、そのまま肩を押されて押し倒された。

「調子に乗ってんじゃねぇぞっ!」
仰向けの状態で男が馬乗りになると、私の喉を押さえつける。もう一本、左手に持っていたダガーを振り上げた瞬間だった。

「うぁっ!」
左腕に激痛が走ると同時にボキっという嫌な音がした。私に刺された男が、傷口を抑えながら私の左腕を踏みつけて見下ろしていた。

「ぶっ殺してやる。」

「その前に…。」
ビッと布が引き裂かれる音がした。私に馬乗りになっていた男が、私の来ていたTシャツを首元から引き裂いたのだ。

「楽しませてもらおうじゃねぇか。あ?」
涙が出そうになった。でも、悔しくて思いっきり睨みつけると、

「おい、舌噛まねぇように口にこれ突っ込んどけ。」
と言って、男が引き裂いた私のTシャツを口に突っ込んだ。

(ヤダっ!触るなっ!気持ち悪いっ!ヤダ!ヤダっ!)
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