短い夢@

□試し試され最終的に
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「こりゃぁ…ひでぇな。」
無残に切り裂かれた帆に、オレはため息をついた。

「予備があるんだろ?」
サッチからの想定通りの問いに、

「いや、予備を置いていた倉庫がやられてこれと大して変わらねぇもんになっちまった。」
と答えると、一瞬隊長たちがざわついた。

「次の島まであとどれくらいなんだ?」

「…まだ2週間はあるよい。」
ジョズにそう返事をすると、隊長全員の眉間の皺が深くなった。

「嫌なのは…。」
沈黙を破ってイゾウが口を開く。

「この状況をわかってて、次の攻撃がしかけられることだな。」
オレもそれは思っていた。海軍に遭遇して激戦になることはよくある。だが、なぜか今回は人的損傷よりも船に対する攻撃の方が多かった気がする。もし、第二弾の攻撃をかける前提でわざと船ばかり攻撃していたとなると、少々やっかいだ。

「帆以外の損傷はどうなんだ?」
エースの問いに、

「一隻側面に大砲を受けて穴があいたが、応急処置でなんとかなってる。だが、次の攻撃を想定すんならもうちょっと補強しねぇとやべぇよい。」
と答えると、誰かがちっと舌打ちをした。
重い空気を破ったのは親父だった。

「ここで考え込んでても仕方ねぇ。やるだけのことをやるしかねぇだろう。帆の方は予備の帆と、船内にあるもんを集めて対応しろ。つぎはぎでも構わねぇ。次の上陸までにもちゃぁいい。あっちもそれなりに損害を受けてんだ。援軍を呼ぶにしろ、あのままの戦力で攻撃してくるにしろ、2、3日で体勢整えて攻撃を仕掛けてくるのは無理だ。」

「ああ。親父の言うとおりだよい。周囲に島がねぇのはあいつらだって同じ状況だ。近くに援軍がいたならあん時に援護して一気に潰しに来てたはずだ。それがねぇってことは近海の援軍はいないと思って間違いねぇ。」

「とは言え、油断はするな。見張りをいつもより強化しろ。こんなもんで弱ってつぶれると思ってるなら、返り討ちにしてやろうじゃねぇか。なぁ、息子たちよ。」
そう言って親父がニヤリと笑うと、隊長陣の目にも輝きが戻る。

「よしっ。役割分担を決めて、返り討ちの準備だよい。」
オレはそう隊長陣に声をかけると、各隊に仕事を配分した。
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