短い夢@

□エースの災難
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「…まぁ…オレらの知りたかったことはわかったな。」
サッチがそうつぶやくと、

「…そうだな。これでつきあってねぇとかありえねぇ。」
(自分を女扱いするのはマルコだけどか、前日の夜の疲労だとか、生々しいことをしれっといいやがって。)
とエースも平謝りするマルコを見ながら答えた。
しばらくエースもサッチモぼーっと痴話げんかを繰り広げる二人を見ていたが、

「でもよ。オレ、マルコの心配わかるぜ。」
とエースが言った。

「あ?」

「やべぇよ、あいつ。しかも不意打ちだし。」

「…へー。いや、でも、オレもちょっと見る目変わっちまったかも。」

「だろ?」
そう言ったエースにサッチはニヤリと笑うと、

「で?詳しく教えろよ。胸とかどうなんだよ?」
と身を乗り出してきた。

「おー。あいつ、いつもダボっとした服ばっかり着てるだろ?それが意外なことに…いってぇぇぇぇ!!」
エースが自分の胸のあたりで丸みを表現しようとした動きは、脳天に落ちたマルコの鉄拳で止められた。

「エース。すべて忘れろい。」

「ゔ…。」
エースは頭を抱えたまま身動きが取れない。

「今の一撃で記憶を失え。」

「ひでぇな…。」
ぼそっと横でつぶやいたサッチをギロリと睨むと、

「てめぇも余計なこと考えんじゃねぇ。」
と吐き捨てて、マルコは去っていった。

「ちくしょー!今の、完全に八つ当たりだろっ!名無しさんに怒られたからってオレにあたるんじゃねぇっ!」

「意外と嫉妬深いのな、あいつ。」

「束縛し過ぎると嫌われるぞっ!」
エースがそうマルコの背中に叫んだ瞬間、マルコは首だけ後ろを向いてエースをギロリと睨んだ。

「ひぃぃぃっ!」

「ビビるなら喧嘩売るなよ。」

「くそっ!マルコの奴、名無しさんが絡むといつもより怖ぇ。」

後日、またマルコの部屋に行くと、名無しさんがマルコのベッドで素っ裸で(布団はかけていた)寝ていたため、再びマルコの鉄拳を食らったエースは「ノックをする」というマナーを覚えたとかいないとか。
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