何でも屋の受難

□フラッカー
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「ん?雨の匂いがする」


フワッと屋根から飛び降り、華麗に着地すると弟者はその勢いで路地の方へと人込みを避けながらトップスピードで駆けて行った。



ザザッー…


「おい、弟者」

「ん?兄者どうしたのー?」

「分かってるとは思うが、あんまり派手に暴れまわってくれるなよ」

「わ、分かってるってば!」


兄者の無線に気をとられていた時、路地に白い影が見えたことに気付き、弟者はそれを見逃すことなくそちらへと方向を変えた。


「対象発見!」


「了解!弟者君のGPS情報を兄者君に至急送るから合流して」

「はいよっ」

「弟者君はそのまま追いかけて!」

「了解っ」


乙一との無線を終え、弟者は路地の中へと入り白い影が角を曲がったのを確認すると、路地中の地図を頭の中に思い浮かべ、先回りしようと別の角で曲がった。

しばらく走ると角を丁度猫が弟者の方へ曲がってきた。

「おっ!猫ちゃっ…」

猫の存在に気を取られ、曲がり角からの人の気配に気づき遅れ、それをかわすように避けたが、相手にぶつかってしまった。

「いっで」

「あ、ごめん!急いでてて」

その間にも猫は弟者の股下後を通り抜けて行ってしまい、弟者は慌ててそれを追いかけようと振り向いたが、その肩をグイっと強くうしろに引かれた。


「おい、ちょっと待てや⁉」

「え、あ」

「おい゛っ何しらこいてんだよ?!」

「ぶつかっておいて謝礼もなしか?!」

大柄の男2人組に絡まれてしまい、弟者は渋々猫から男達に視線を変えた。

「謝礼って…きちんと謝ったし、悪気はなかったんだってば」

「悪気があるとかねぇとかの話じゃねぇんだよ」

「あ゛〜いててて、これは折れてっかもしんねぇぞこれ」

そう言うとぶつかった方の男は、当たったところを押さえながらもう一人の男とあくどい笑みを浮かべた。


「よぉ、兄ちゃん、何すべきかくらい分かんだろ?」

「参ったな…兄者には暴れるなって言われてるし、猫も早く追いかけないといけないし…」

「あ゛ぁん?ボソボソ何言ってんだ?」


そう言うと男の一人は弟者の肩をドンっと押した。
それに対して弟者は少し困ったように無線で乙一に報告をしようと耳に手をあてた。

「乙いt…」

「おいごらっ!話聞いてんのか?!」


すると腕をはじかれ無線機が外れて落ちてしまい、弟者は男の伸ばした腕を掴み、あっという間に足の関節に蹴りをかまし、相手の体制を崩した。



「てめぇ、調子に乗りやがって!!」


もう一人の男が近場にあった鉄パイプを手に取り、後ろから弟者に殴りかかった。
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