Harry Potter  ビル

□デート
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クリスマス当日、クラルスは冷たくなった手に息を吹きかけながら、
公園のベンチに座ってビルを待っていた。

『こんな日に、手袋を忘れるなんて・・・』

公園は辺り一面、銀世界になっていた。
過ぎ行く人たちはほとんどがカップルばかり。
カップルの姿が目に入るたびに、はやくビルに逢いたいと願ってしまう。

「クラルス!」

呼ばれた方向を見てみると、ビルが走ってくるのが見えた。
クラルスはベンチから立ち上がり向かってくるビルの方へ足を踏み出した。

「ごめんね、また待たせたしまったね」

『ううん、大丈夫よ、ビル』

ビルは目の前に立つクラルスの顔をじっと見つめてきた。
見つめられているクラルスはどうかしたのかと首をかしげた。
するとビルは突然、クラルスの背に腕を回し、抱きついてきた。

『ビ、ビル!?』

「・・・よかった」

『え?』

「君が無事でよかった、ジニーと一緒に連れていかれたって聞いた時から、不安でね。
 無事だって聞いたけど、こうやって実際に逢えるまで安心できなかった」

ビルは抱きしめる腕に力を込めた。
クラルスは心配をかけてしまった罪悪感と嬉しさの気持ちを込めて、
ビルの背に自身の腕を回して抱きしめ返した。
2人は周りの目を気にせず、しばらくの間、互いの温もりを確かめ合った。
しばらくしてビルが腕の力を抜いたので、クラルスも同じように力を抜いた。

『ビ・・・んっ』

離れて名前を呼ぼうとしたとき、唇がなにかに塞がれて呼べなかった。
クラルスは思わず瞑った目を開けると、ビルの顔がすぐ近くにあった。
ビルにキスされている、クラルスはすぐに理解した。
ほどなくしてビルの唇は離れていったが、顔はまだ近い。
少しでも動いたら、また唇がふれ合いそうなくらい近い。

「、もう一回」

クラルスは声が出なかった、でも、目を閉じた。
ビルはそれを了承と受け取り、再び唇を重ねてきた。
啄むような口づけが繰り返された。

『ん…ふっ…』

今度のキスは長かった。
離れたと思ったらまた触れて…、その繰り返しだった。
唇にふれる温もり、顔にかかる吐息のすべてががクラルスの頭を痺れさせる。
最後にビルはちゅっと音をたてて、唇を離した。

「好きだよ、クラルス」

『っ私も、好き・・・』

ビルは一度ぎゅっとクラルスを抱きしめると、体を離して、歩き出した。
クラルスの手はビルによって指が絡めとられた。
クラルスの火照った顔に冷たい風があたって、それが気持ちいいと思った。

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