Harry Potter  ビル

□ホグズミード
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学校はクリスマスムードに入っていた。
クラルスはもちろんクリスマス休暇は家に帰るつもりでいる。
恋人ビルとデートの約束もしている。
妹ハーマイオニーは今年も学校に残るそうだ。

そして、クラルスは学期末最後のホグズミードに来ていた。
はじめはフレッドやジョージと行動していたが、
戯道具の専門店ゾンゴに2人が夢中になっていたため、
どうしようかと悩んでいたとこにハーマイオニーとロンに出会い、
彼らと一緒にハニーデュークスで学校に残るハリーへのお土産を選ぶことにした。

ハマ「これはダメね。きっと吸血鬼用だと思う」

『私は普通のお菓子でいいと思うのだけど・・・』

ロ「普通じゃつまらないよ、クラルス。これはどうかな?」

ロンは"ゴキブリ・ゴソゴソ豆板"と書かれた瓶を手にした。
クラルスはロンのチョイスに口元を引くつかせた。
それはない、絶対に。

ハリ「絶対イヤだよ」

背後からここにいるはずのない声が聞えた。
ロンは危うく瓶を落とすところだった。
ハーマイオニーとクラルスも肩を飛び上がらせた。

ハマ「ハリー!!」

『貴方がどうしてここにいるの?!』

ロ「ど、どうやってここに?!姿現しの術ができるのかい?!」

ハリーはフレッドとジョージから貰った"忍びの地図"のことを
話してくれた。
クラルスは双子が"忍びの地図"を持っているのは知っていたため、
なんでもっと注意深く見ていなかったのか、と後悔した。

『(でも2人が、あの"忍びの地図"を渡すなんて…)』

ハマ「ハリー、この地図はもちろんマクゴナガル先生にお渡しするわよね?」

ハリ「僕、渡さない!」

ロ「こんないいものが渡せるか?」

ハリーは"忍びの地図"を先生に渡すことはフレッドとジョージを
先生に密告することだと言った。
ハーマイオニーはシリウス・ブラックが地図に乗る抜け道を使って
ホグワーツに入り込んだかもしれない、それを先生は知らないと反論した。
ロンはこのホグズミードは吸魂鬼が毎晩パトロールすることや、
ハニーデュークスのオーナーがシリウスがいたら気づくと言った。
ハーマイオニーはそれでも納得ができず、ハリーとロンも譲れないといった態度だった。
そして、三人の視線はクラルスに向かった。
クラルスは誰の味方なのか、と。

『とりあえず、ハリー。
 貴方は許可証をもってないのだから、これは大きな規則違反よ。
 誰かに見つかったら寮のみんなに大きな迷惑がかかるわ。
 フレッドとジョージを守りたい気持ちはわかる。
 だから、"忍びの地図"を今後どうするかはあとで考えましょう。
 シリウス・ブラックが貴方を狙っているのは事実よ、
 私は監督生として貴方には早々に学校に戻ってほしいわ』

ハリ「そんな・・・」

ハリーとロンは落胆した。
ハーマイオニーが相手ならともかく、クラルスは監督生。
彼女には生徒に規則を守らせる役目がある。
それがわかっているから、なにも言い返せない。
ハーマイオニーは"忍びの地図"を先生に渡さないことが不満のようだ。

『…でも、今はクリスマス。
 ハリー、来てしまったものはしょうがないわ。
 本当は私にはそんな権限はないのだけど、私からのクリスマスプレゼントよ。
 誰にも見つからないようにして、ホグズミードを堪能しましょう?
 少しだけね、それから来た抜け道を通って帰ること。
 もう一つ、今後は絶対に、勝手に来ちゃだめよ。
 どうかしら?守れる?』

ロ「・・・君は最高だよ」

ハマ「ちょっと、お姉ちゃん?!」

ハリーとロンは表情を一変させて、笑顔になった。
ハーマイオニーは反対に怒った顔になっている。
クラルスはハーマイオニーにだけ聞こえるように話した。

『ハーマイオニー、ほんの少しだけよ。
 "忍びの地図"はあとで私が回収するつもりよ。
 先生に渡すかどうかはわからないけど、
 これをハリーに持たせたままにはしないわ。』

「・・・わかったわ」

ハーマイオニーは渋々というように納得してくれた。
ロンがハリーを連れてハニーデュークス内のお菓子を教えている。
普段のクラルスなら、すぐにでもハリーを学校に戻しただろう。
でも、前回のホグズミードに行けなかったハリーの姿を思い出し、
またフレッドとジョージの"忍びの地図"をハリーに託した思いを考えると、
追い返すことはどうしてもできなかったのだ。

『(これはこれで、監督生として失格ね・・・)』

クラルスは人知れず苦笑いを浮かべたのだった。

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