Harry Potter  ビル

□監督生
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それから数日、学校中シリウス・ブラックの話でもちきりだった。
切り刻まれた太った婦人の肖像画は取り外され、
かわりにガドガン卿の肖像画がかけられたが、それがまた厄介だった。
ガドガン卿は誰かれ構わず決闘を挑み、複雑な合言葉を使った。
少なくとも1日2回は合言葉を変え、多くの生徒が談話室に入るのに苦労していた。
そしてハリーを監視する目が大変だった。
先生方はなにかと理由をつけては一緒に廊下を歩き、
パーシーがどこに行くにもハリーにぴったりくっついていた。

この頃、ルーピン先生は《闇の魔術に対する防衛術》を休んでいた。
理由は体調不良。月の周期を調べるともう少しで満月だった。
クラルスの仮説がどんどんと証明されていっているようで、気分は憂鬱だった。
さらに、ハーマイオニーのクラスでスネイプ先生が人狼の授業をした、と。

『(体調がよくなったら、会いに行こうかな・・・)』

手土産に甘いものも一緒に・・・と考えていると名前を呼ばれた。

「やぁ、クラルス」

『セドリック!聞いたわ、キャプテンになったのよね?』

「そうなんだ、それで今度の試合はハッフルパフとグリフィンドールになったんだ」

『スリザリンじゃないの?』

聞くところによるとスリザリンはシーカーのドラコが
まだ怪我が治っていないからと試合の順番を変えてきたらしい。
クラルスは呆れた顔をしてしまった。

『・・・言葉もでないわ』

「僕たちも驚いてるよ、作戦を立て直さなくちゃだからね」

セドリックはクィディッチのキャプテンを務め、同時に監督生でもある。
模範生とは彼のような人をさすのだろう。
ハンサムな外見でもあるから女子からの人気も高い。
多くの女子生徒はセドリックを見るだけで頬を染めている。
今、クラルスと話しているときも例外ではない。
セドリックに憧れる女子生徒の視線がクラルスにも降り注いでいる。

『…キャプテンになってなおさら人気が出たみたいね』

「あ〜、それは嬉しいんだけど、ね。なかなか慣れないよ」

『今度の試合によっては、もっと人気が増すわよ?』

「・・・応援してくれる?」

セドリックはおずおずと聞いてきた。
クラルスはそれにクスクスと笑って答えた。

『う〜ん、応援したいけど、私はグリフィンドールよ?』

「だよね、」

『でも、友達として怪我しないようにと祈ってるわ。
 それぐらいならいいと思うの』

「それで十分だよ、ありがとう」

セドリックはクラルスの言葉に嬉しそうに笑った。
周りの視線が痛くなってきたので、2人は会話をやめて別れた。

次の日になった、クィディッチの試合だったが
天気は荒れ狂う嵐のように酷かった。

試合はかろうじてグリフィンドールがリードしているが、
この天気のせいで両者のシーカーはスニッチを見つけられずにいる。

そして、恐ろしいことが起こった。
試合中のクィディッチの競技場に吸魂鬼が入ってきた。
競技場はその光景に沈黙が広がった。

そしてハリーが箒から落ちて、セドリックがスニッチを掴んだ。
ハッフルパフの勝利に終わった。

クラルスは一度だけ、ハリーのお見舞いに行った。
ハリーは無理矢理笑顔を浮かべて見舞客の相手をしていた。
クラルスは少しでも元気が出るように、いくつかのお菓子を渡した。


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