Harry Potter  ビル

□授業
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クラルスたちは大広間に向かった。
大広間は例年通り何千本という蝋燭の灯りに照らされて、
長テーブルの上の金食器がキラキラ輝いている。

ハリーとハーマイオニーは今はいない。
先ほどマクゴナガル先生に呼ばれて、大広間を出ていく姿が見えた。
3人がいないまま、新1年生が入場し、組分けの儀式が始まった。

グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリン、
次々と新1年生がふさわしい寮に組み分けられていく。

先生たちの座るテーブルを見ると、ルーピン先生の姿が見えた。

組み分けの儀式が終わり、フリットウィック先生が組分け帽子を片付けるころ、
ハーマイオニーとハリー、マクゴナガル先生が大広間に入ってきた。
ハーマイオニーは組分けの儀式が見れなかったことに落ち込んでいた。

「おめでとう!」

ダンブルドアの声が大広間に響き渡った。

「新学期おめでとう!皆にいくつかお知らせがある。
 一つはとても深刻な問題じゃから、
 皆がご馳走でボーっとなる前に片付けてしまう方がよかろう…」

ダンブルドアが咳ばらいをして言葉を続けた。

「ホグワーツ特急での捜査があったから、皆も知っての通り、わが校は、
 ただいまアズカバンの吸魂鬼、つまりディメンターを受け入れておる。
 魔法省のご用でここに来ておるのじゃ」

クラルスは汽車内で遭遇したディメンターを思い出した。
あれをこれからも見ることになると思うと気が重くなった。

「吸魂鬼は学校の入口という入口を固めておる。
 あの者たちがここにいる限り、はっきり言うておくが、
 だれも許可なしで学校を離れてはならんぞ。
 ディメンターは悪戯や変装に引っかかるようなシロモノではない。
 ・・・《透明マント》でさえムダじゃ」

《透明マント》、ハリーたちが夜中に校内を歩くために使っている
あの布のことだとわかった。
ダンブルドアはハリーたちの行動を見透かしているようだった。

「言い訳やお願いを聞いてもらおうとしても、ディメンターには生来できない相談じゃ。
 それから、一人一人に注意しておく。
 あの者たちが皆に危害を加えるような口実を与えるではないぞ。
 監督生よ、男子、女子それぞれの新任の首席よ、頼みましたぞ。
 誰一人としてディメンターといざこざを起こすことがないよう気をつけるのじゃぞ」

パーシーが胸を張り、周りを見回しているのが見える。
クラルスは胸元に手を置きギュッと握った。
服の下にビルから貰った牙のネックレスがある。
監督生の1人として、ダンブルドアの言葉を身に染み込ませた。

『(いきなり、大役を任された気分だわ・・・)』

そこからは新任の先生の紹介が始まった。
深刻な雰囲気から一転して、楽しい話とダンブルドアが紹介した。
《闇の魔術に対する防衛術》にルーピン先生
《魔法生物飼育学》にハグリッド
それぞれが今学期から新しく教鞭をとってくれるという。

ご馳走を食べ、
フレッドとジョージの掛け合いを躱し、
寝る時間となった。

クラルスはパーシーと新1年生をグリフィンドール寮まで
案内していた。
大広間を出て、大理石の階段を上がり、廊下を歩き、また階段を上がり…
グリフィンドール塔の秘密の入口にたどり着いた。
クラルスが後ろを振り返ると困惑している1年生たちの顔が見える。

『(そりゃそうよね・・・)』

こんな道順憶えられるわけないとクラルスは苦笑いをした。

『1年生のみんな、ここでは合言葉が必要になるの』

《太った婦人》の肖像画が「合言葉は?」と聞いてきた。
パーシーが胸を張って一歩前に出た。

「合言葉は《フォルチュナ・マジョール。たなぼた!》」

今年の合言葉はまた奇妙な…。
きっと、肖像画の前で合言葉がわからず困り果てる1年生が出るだろうなと思った。
もちろん、困り果てるのは1年生だけではないのだが。

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