Harry Potter  ビル

□出発前
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五年生に進級する夏季休暇、
クラルスは家族と一緒にフランスに来ていた。
ハーマイオニーはフランスの魔法の地方史の虜になり、
出された宿題の何倍もの長さを書いている。
また、ハーマイオニーがハリーの誕生日プレゼントを
どうやって送ろうかと悩んでいたから、クラルスがフクロウのウィンクルを
貸そうとしたとき、ちょうどヘドウィグがやってきた。
ハーマイオニーは大喜びして、ヘドウィグにプレゼントを持たせた。
クラルスも小さいがお菓子の詰め合わせを持たせた。

クラルスは届いたばかりのビルからの手紙に目を落とした。

    愛おしいクラルスヘ
  この休暇中は逢えなくてとても寂しいよ
  父さんがガリオンくじを当てるなんて思いもよらなかった
  それで家族全員が集まるのだからなおさら驚きだよ
  家族の元気な姿が見られて嬉しいけど、
  わがままを言えば、クラルスにも逢いたいよ
  双子から相変わらず君の自慢話を聞いてるよ
  双子は君と過ごせて羨ましいよ
  この前は僕のスープに甲虫を入れるもんだから、
  きつく仕返しをしてあげたよ
  ジニーはクラルスをお姉ちゃんにほしいと言っていたよ
  君さえ良ければ、ぜひエジプトに来てほしい
  エジプトの墓地や墓荒らしの跡も全部案内するよ
  前向きに考えておいてね
  君が贈ってくれた写真はいつも持ち歩いてるよ
    愛をこめて ビル
  
『エジプト、行こうかな・・・』

ビルの手紙によってフレッドとジョージも相変わらず元気なことがわかった。
ビルの仕返しがなんなのかわからないが、
これで双子が大人しくなればと・・・切に願った。

その傍らには、今年の誕生日プレゼントとしてビルがくれた
小ぶりの牙のネックレスがあった。
ビルのしている牙のイヤリングと同種らしい。

『独占欲っていうのかしら・・・』

ビルの愛情深さに、クラルスはにやけそうになる顔を感じながら、
さっそく返事を書くため、羽ペンを手に取った。


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