Harry Potter  ビル

□日記とバレンタイン
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クリスマス休暇が終わる前日にクラルスはホグワーツに戻ってきた。
何人かの友人たちはクラルスの耳についているイヤリングに気づいたが、
「貰いものなの」と言ってそれ以上は語らなかった。
そして、ハリーとロンに会った。

『ハリー、ロン、久しぶりね』

ハ「やあ、クラルス!」

ロ「クラルス、お菓子ありがとう!すごくおいしかったよ!」

クラルスはハリーとロンにクリスマスプレゼントで
マグル界でも有名なチョコレートの詰め合わせを贈ったのだ。
2人の反応を見ると好評のようだ。

『それは良かったわ。ところで、ハーマイオニーを見てない?
 探してるんだけど見つからないの』

ロ「・・・あ〜、ハーマイオニーね」

ハ「知ってる、けど・・・」

なんとも歯切れの悪い言い方をする2人に、
クラルスは嫌な予感がした。

『…もしかして、ハーマイオニー、』

ロ「あ、襲われてないから!大丈夫!」

『じゃあ、どこにいるの?』

ハ「・・・じつは、」

ハリーが言うには、ハーマイオニーはポリジュース薬を使って
スリザリンの女の子に変身しようとしたが、
そのために用意した髪の毛が、髪の毛ではなく猫の毛だったため失敗。
ハーマイオニーは顔中が毛で覆われてしまったそうだ。
それで今は、治るまで医務室に引きこもってるらしい。
ハーマイオニーのことと一緒に、ハリーとロンがスリザリンから
聞き出したことも教えてくれた。

『…そういうことね』

ロ「あー、でも、今は少し落ち着いてきてるよ、少しね」

ハ「クラルス、その、怒ってる?」

『怒ってはいないわ、ただこれを期に、もう少し慎重に行動するようにね』

「「はーい・・・」」

ハーマイオニーに会いに行くかと聞かれたが、クラルスはノーと言った。
ハーマイオニーも姉にそんな姿を見られたくないだろうし、
元通りに治ってからハーマイオニーから会いに来るようにと伝言を頼んだ。

そして、クリスマス休暇が終わると生徒たちは、
当然、ハーマイオニーが襲われたと思っていろんな噂がたった。
クラルスは彼女の名誉を守るために、

「ちょっとした病気なの、大丈夫、すぐに良くなるから。
 ただ、絶対安静だからそっとしておいてあげて、お願い」

と、聞かれるたびに説明していた。

クラルスはまたしても顔色の悪いジニーを見つけた。

『ジニー、どうしたの?』

「わたし・・・わからないの・・・」

ジニーの表情は青白く、震えていた。
クラルスはちょうど誰もいない自室にジニーを招き入れ、
背中を撫でながらゆっくりと話すジニーに耳を傾けた。

「わたし、このところ、記憶がないの・・・
 ローブが羽だらけになってたり、ハロウィーンの夜も、
 誰かが襲われた日は自分がどこにいたか覚えてないの・・・
 きっと、わたしが・・・」

『ジニー、違うわ、貴女じゃない』

ジニーは自分の身に起きていることを話してくれた。
ジニーはなぜ違うと言い切れるのかわからないと、クラルスを見上げた。
クラルスは優しくジニーに言い聞かせた。

『記憶がないのはショックを受けたから、知っている子や大好きな猫が
 あんなひどい目にあってトラウマになっているのよ。
 羽も授業でついたのかもしれないわ』

「・・・」

『ジニー、他にも悩み事があるんじゃないの?』

クラルスはなんとなくジニーが他にも悩んでいることがあると感じた。
それは姉の感のようなものだった、ジニーの姉ではないが。

「・・・クラルスなら、その、」

『ん?』

「と、友達をやめたくなったら、どうする?」

『ケンカしたの?』

「そうじゃなくて・・・」

クラルスはジニーが友人関係のことで悩んでいると思った。
理由は話してくれそうにないが、なにか衝突でもしたのだろうと。

『そうね・・・、話し合いが無理なら距離を置くことかな』

「距離を?」

『えぇ、距離を置いて、時間をかけてゆっくり考えるの。
 そこでその友達と今後どう接するか、決めたらいいわ』

「うん・・・」

その日、ジニーはトイレにリドルの日記を捨て、
ハリーとロンがリドルの日記を見つけ、拾うことになる。
ジニーの中で距離を置く=捨てる、に繋がったようだ。


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