Harry Potter  ビル

□悲劇のハロウィーン
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クラルスは図書館の前でセドリックと別れ、グリフィンドール寮に向かっていた。
いつもはにぎやかな廊下も今日はなんだか静かだった。
歩きながらクラルスはもうすぐハロウィーンの時期だと思い出した。

『ハニーデュークスでお菓子を買わないとね、週末に行こうかな・・・
 あれは、』

クラルスが今年は何のお菓子にしようかと悩んでいるとか、
去年のハロウィーンはトロールのせいでさんざんな目にあったとか、
考えながら歩いていた。
そして、前をゆっくりと歩く赤毛の女の子が視界に入った。
ウィーズリー家の末っ子、ジニー・ウィーズリーだ。
クラルスはジニーがホグワーツに入ってから、
まだまともに会話をしていないことに気がついた。

『ジニー?』

「クラルス・・・」

クラルスは歩く足を速めて、ジニーに後ろから声を掛けた。
振り返ったジニー、その顔にはいつもの明るい笑顔はなく、
具合が悪そうな青白い顔をしていた。
クラルスは思わずジニーの額に熱を測ろうと手を置いた。

『クラルスは…ないみたいね。ジニー、大丈夫?
 とても顔色がわるいわ、
 気持ち悪いとか痛いとか、おかしいところはある?』

「・・・ううん」

本人は何もないと言うが、とてもそうは思えなかった。
返事をする声さえも覇気がなかったのだ。

『そう・・・でも心配ね。
 体調が悪いなら無理しちゃだめよ?すぐに言ってね?』

「わかったわ、ありがとう、クラルス」

ジニーは力なく笑った。
その弱弱しい笑顔にクラルスはなおさら心配になる。
クラルスはそのままジニーと手を繋いでグリフィンドール寮に向かった。

グリフィンドール寮に戻るとクラルスはジニーにもう寝るようにと促し、
ジニーも大人しくそれに従い自分の部屋に入っていった。
クラルスは、一日も早く元気になって可愛い笑顔のジニーが見たいと心から願った。

ハーマイオニーのクラルスを呼ぶ声が聞えた。
ハーマイオニーはロンやハリーと一緒にいて、とても機嫌がよさそうだ。

『どうしたの?』

「お姉ちゃん、あのね・・・」

ハーマイオニーから《絶命日パーティー》のことを聞いた。
クラルスはなんともハーマイオニーが好きそうなことだと思った。
やはりハリーと共に行動しているからなのか、
普通の日常では聞かないようなことが起こってしまう。

「お姉ちゃんも一緒にいかない??」

『私も?そうね・・・いえ、やめておくわ』

国中のゴーストが集まるパーティー・・・普段見ているゴーストが
部屋いっぱいにいることを想像すると、なんだか寒気がした。
ハロウィーンにはぴったりのパーティーだが、
クラルスは去年のこともあり断りの言葉を紡いだ。

「そう、残念だわ・・・」

『ごめんね、ハーマイオニー。でも、気を・・』

気をつけてね、とクラルスが言おうとしたとき、
談話室に大きな音が鳴り響き、火トカゲと花火が舞った。
犯人はフレッドとジョージだった。
2人が魔法生物の火トカゲを拝借してきて、その火トカゲに花火を食べさせたのだ。

『フレッド!ジョージ!』

「ジョージ!やばいぞ!姫がカンカンだ!」

「怒った姫も可愛いが、これはまずい!!」

「「逃げよう!!」」

『待ちなさい!!』

ハーマイオニーに言おうとしていたことを忘れ、
クラルスは逃げ出そうとするフレッドとジョージを追いかけた。

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