Harry Potter  ビル

□憂鬱と勉強
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マクゴナガル先生が時間割を配りに来た。
クラルスは全科目を取得しているため密度が濃い。

「あいかわらず姫の時間割はえげつないぜ・・・」

「パーシーみたいにはならないでくれよ…」

『全科目はO.W.L試験が終わるまでよ、
 終わったらまた選択し直すつもりだから』

1限目は双子と一緒の授業、《闇の魔術に対する防衛術》
あのギルデロイ・ロックハートの授業だった。

『授業が成り立つといいけど』

「成り立たなっから、俺たちの出番だぜ、ジョージ」

「ああ、フレッド、姫が退屈しない最高の授業にして見せるさ」

『・・・ほどほどにね』

いつもなら止めるところだが、今回はしない。
ナウとかオツとかふざけた名前の本、空気を読まない発言・・・
こんな人に習うなど不安しかない。

そして、一限目が始まった。

「はじめまして、諸君!!」

ロックハートが現れ、演説が始まった。
クラルスは無表情になり、双子はにやにやしている。
一通り演説をすると、彼はみんなにテストペーパーを配った。

「ちょっとした私の本に関するテストです。
 私の本をちゃんと読んでいれば簡単に答えられます!
 時間は30分間、よーい、はじめ!」

配られたテストペーパーに目を通した。
 1、ロックハートの好きな色は何?
 2、ロックハートのひそかな大望は何?
 3、ロックハートの・・・・・
……このテストを辞退したくなった。

クラルスは一応本には目を通していたが、彼の好みなど全く記憶になかった。
憶える気などさらさらなかった。
白紙で提出しても良かったが、それではかえって彼に目を付けられると思い、
適当に半分ほど埋めて提出した。

時間になりテストを回収、みんなの前でめくって確認を始めた。

「しっかり私の本を読んでようだね、素晴らしい!
 でも、まだまだ読み足りない子も何人かいるようだ・・・
 Ms.グレンジャーはどの子かな?」

呼ばれたからには仕方がないので、ゆっくりと手をあげた。

「貴女はこの学年で最も優秀だと伺いました、稀に見る秀才だと、
 まぁ、私の学生時代には及びませんがね!
 そんな貴女が半分も答えられないなんて、
 しかし、私にはわかっています!
 本物の私を目の前のして貴女は緊張のしているのです!」

ロックハートはクラルスに向かってウインクを投げかけた。
まったくもって筋違いなことを言い出すロックハートに、
クラルスは張り付けた笑みで適当に相槌をうってやり過ごそうとする。

「「せんせーい!俺たちのテストはどうですかー?」」

まだまだロックハートがクラルスに対して話を続けようとしたのを、
フレッドとジョージが遮った。
双子はクラルスを見てウインクをした。

それからは双子が大活躍。
どこからか取り出したのか、火なしで火がつく花火を打ち上げた。
ロックハートに目掛けて。
双子は「これを華麗に防ぐ先生が見たい」と言って
ロックハートの返事を聞くことなく実行に移したのだ。
もちろん彼は手も足も出ない、
降参だと言わんばかりに教室を飛び出した。

「「イエーイ!!」」

『・・・片付けが大変ね』

クラルスはこの時ばかりは双子の悪戯に感謝をした。

次は魔法薬学の授業のため地下牢に向かっていると、
スネイプ先生に出くわした。

「Ms.グレンジャー、
 貴女のご友人はさっそく問題を
 起こしてくれたようですな」

ロックハートの授業について言っているのだろう。

『スネイプ先生、あの2人が悪戯をするのはもう止められません。
 さっきの授業のことでしたら、新しい先生が
 華麗に対処してくれると2人は期待して起こした行動です。
 期待通りでした』

クラルスにしては珍しい嫌味が含まれた発言だった。
それを聞いたスネイプ先生も珍しいものを見ている心情になった。

「ほぉ・・・期待通りということは
 よほど素晴らしい姿を見られたということですかな?」

『はい、素晴らしい逃げっぷりでした』

清々しいほどの笑顔だとスネイプ先生は思った。

『私は今回ばかりはその素晴らしい姿を見る機会を作ってくれた
 フレッドとジョージ・ウィーズリーに感謝をしています』

「・・・・せいぜい吾輩の授業では大人しくしてくれることを
 願いますな」

『よく言い聞かせておきますね』

スナイプ先生は珍しく満足気な表情を浮かべた。
ロックハートが使えないと思っているのは先生も同じなので、
その彼が痛い目にあったと知れば気分も良くなる。

クラルスは一礼をして教室に入っていった。

その日、フレッドとジョージは減点をされなかった。

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