Harry Potter  ビル

□勇気の種類
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その日の夜の談話室、
ほとんどの生徒が寝室に行ったにもかかわらず
ハリー・ロン・ハーマイオニーは談話室から動かなかった。
クラルスはその様子が気になり、寝室に行ったふりをして身を隠した。
ハリーが一旦は出ていったがすぐに手に布を抱えて戻ってきた。

クラルスは驚いた。
なんと、ハーマイオニーがネビルに魔法をかけて、
金縛りの状態にしたのだ。

『待ちなさい』

3人は背後から聞こえたクラルスの声に振り返った。

ハ「お、お姉ちゃんっ」

ロ「やばい・・・」

ハ「これにはちゃんと理由がっ・・・」

歩み寄るクラルスに3人は必死に言葉を紡ぐ。
クラルスはハーマイオニーだけに問いかけた。

『・・・ハーマイオニー、これは遊びじゃないのよね?』

「えっええ!」

『退学になるかもしれないの、それでも行ってしまうの?』

「っそれでも、いかなくちゃ」

クラルスは唇を噛んだ。
ハーマイオニーの覚悟を、止めることができない。
姉として、どうするべきかか・・・

『・・・怪我・・・しないでね』

やがて3人は布を被ると姿が消え、見えなくなった。

『フィニート・インカンターテム』

クラルスはネビルにかかった金縛りの魔法を解いた。

『大丈夫?』

「う、うん」

ネビルは体をゆっくりと起こし、恐怖の色を目に浮かべていた。

『妹がごめんなさい、
 ・・・あの子たちはどこに行ったか、わかる?』

「わ、わからないっ、ただ、もう規則を破ってほしくなくてっ」

『…大丈夫よ、大丈夫。』

クラルスは恐怖に怯えるネビルの頭を撫で落ち着かせようとした。

苦渋の決断だった。
苦しくて、苦しくて、どうしようもない。
どこにいくのか、なにをするのか、まったくわからないのに、
大切な妹を、まだ1年生の妹を、行かせてしまった。
前のドラゴン引き渡しの時よりも危険かもしれない。
今度は怪我をして帰ってくるのかもしれない、
すぐには帰ってこないかもしれない。
なんで、気にしなかったのだろうか、
なんで、問い詰めなかったのだろうか、
なんで、止めなかったのだろうか・・・・・・

でも、妹の判断を信じている自分もいる

クラルスは心の中で葛藤が続く中、ただ、妹が戻ってくのを待つしかなかった・・・

ハーマイオニーが帰ってきた。
それは空が明るくなり始めたときだった。

そして、ハーマイオニーが見て体験した全てのことを
教えてくれた。
秘密の部屋、フラッフィー、先生たちの罠、賢者の石・・・
信じられなかった。
それ以上に、驚きだった。
クラルスが想像したことよりも遙かに壮大な規模の話だったのだ。

『無事で、よかったわ、本当に・・・』

クラルスはハーマイオニーを抱きしめた。
ハーマイオニーは姉の抱きしめる力が強く、体をよじろうとしたが、やめた。
クラルスの体が、かすかにだが震えていた。
・・・泣いていた。

ハーマイオニーは心をぎゅっと掴まれたような感覚だった。
あの、いつも微笑んで弱さを見せないクラルスが、泣いている。
それだけで、自分が姉にどれだけ心配をかけたのか、わかったのだ。

ハーマイオニーはクラルスが泣き止むまで、クラルスの温もりを感じていた。

それから3日後、ハリーは医務室で目覚ました。
そこでハリーから聞いた話をハーマイオニーはクラルスに伝え、
クラルスはその話に頭を抱えたのだった。


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