長編

□本音
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サイファーとドミニクの襲撃から一時間以上がすぎて
動けなかった体を動かせるようになった

基地の職員はノーバディの指示によって
速やかに部屋の片づけを開始する

幸い全員に大きなけがはなくかすり傷程度ですんだが
何人かの心には大きな傷が残った

カレンは自分の負ったかすり傷の手当を済ませ
庇ってくれたデッカードのそばへ歩み寄った


 『……デッカード、』

 デ「どうした」

 『…っごめん、なさい』


デッカードのおかげで軽傷で済んだ、しかしそのせいで
鉄の壁に押し倒されサイファーに罵られてしまったと思うと
申し訳なさと自分の不甲斐無さにカレンは悔やんでしまう
合わせていた目線も下げてしまった


 デ「謝ることはねぇよ」
 
 『でも、私が弱いばかりに……っ』

 デ「んなもん関係ねぇよ」


デッカードはうつむくカレンの顎を掴み
無理矢理に顔を上げさせ目線を合わせた


 デ「いいか、よく聞け 
   今まで花しか贈れず抱けなかった女がやっと手の届くところにきた
   なのに俺より先に俺の目の前で傷つけられようとしてる
   それを黙って見てろってか? ふざけんじゃねえ!
   そんなの俺が許すはずねぇんだよ」


カレンはデッカードの言葉に息をのんだ
同時に頬が赤くなり熱を持っていくのがわかる
想像していなかった言葉に口を開こうにも言葉が出ない


 デ「その腕輪を贈った時からお前は俺のものだ
   この先ずっとな
   お前もその腕輪をつけてるってことは
   お前自身もその意味に気がついてんだろうが」

 『……半分疑ってました』

 デ「ああ?」

 『だって花束は届いても声や姿は見られなかったから
  生きてることはわかっても、不安でした』


先ほどの申し訳なさや悔いる気持ちはおかげで消えた
しかし、カレンは半ばムキになりながら言葉を紡いだ
捕まれた顎を振りほどき
かわりにデッカードの胸に頭を預けるようにして寄りかかった


 『……私が貴方のものなら
  これからは 近くにいさせてください 』

 デ「……」


デッカードは返事はしなかったが
カレンの頭に手を添えた

この光景を周りにいたものは見ていた
会話の内容は聞こえはしなかったが複雑な気持ちになる


 ロ「……なぁ、やっぱりあれってそうなのか?」

 テ「…そういうことなんだろ」

 ラ「カレンの昔のことあまり知らないけど、
   あれには驚いたわ」

 ロ「いいのかよ?」

 ラ「いいって何? 引き離すの?」

 テ「まぁ、ゴッド・アイの時も問題はなかったし
   もともとラムジーを助けるために協力しただけだったからな」

 ラ「カレンはいい友達、それでいいんじゃない?」


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