短編・番外編

□可愛い理由
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 オリジナル役職:ドクターQ(名前変換なし)
  地球外生物や物質の成分検査及び対策研究
  部下を持つ幹部クラスの立場
  つまりは研究員


最高機密機関「MIB」のロンドン支局にある一室

書類の積まれたデスクに観葉植物が数体
大きなモニタースクリーンに数枚のタブレット
コーヒーメーカーと冷蔵庫にキャビネット
3人掛けソファーとローテーブル
全てを白に基調とした専用の仕事部屋……だが
泊まり込み用の私物も多いため私室と言っても過言ではない


 『これは違う…あれもダメ…こっちか…』

 T「ドクターQ」


この部屋の主であるドクターQは
モニターに映し出された検査結果についての対策を
手元のタブレットで操作しながら
いろいろと小さな声で呟いている
……後方から呼ばれている声には気づかずに

 
 『ダメかぁ…それなら…』

 T「ドクターQ」

 『手強いなぁ…』

 T「ハァ…… ドクターQ」

 『っふあぁぁぁ!!っハイT!?』


ハイTはドクターQ耳元に顔を寄せ
息がかかる程の近い距離で名前を呼んだ
ドクターQは突然の耳に吹きかかる息と声に
肩を飛び上がらせ距離を取りその方向に顔を向けた
その顔は真っ赤に染まり涙目だった


 『いっいつもいつもっ
  耳元で話さないでくださいって言ってるじゃないですか!?』

 T「それは私が何度呼びかけても返事を
   しないからだ、ドクターQ」


そう、ドクターQは何かを考えたり集中すると
周りの声が聞こえなくなり見えなくなってしまう
ハイT曰く、悪い癖なのだ


 T「その集中力はとても素晴らしいが
   君の悪い癖でもから直せと言っているだろう?」

 『うっ…すいません…』

 T「私だけではなく他のエージェントたちも
   戸惑ってしまうだろう」

 『はい…肩とか叩かれるまで気づけないことが…何度か…』

 T「ハァ…」


ドクターQはため息をこぼすハイTに
肩をすぼめて申し訳なさそうにハイTを見上げた


 『えーっと…ちなみにご用件は…』

 T「あぁ、先日のエイリアンが持ち込んだ物質の
   検査結果の報告書がまだ出ていないようなので
   取りに来たんだが…」

 『それならできてます!
  今お持ちしますね!』

 
ドクターQはデスクの上の書類を一束持ち上げ
中身をざっと確認してハイTに渡した


 『確認をお願いします』

 T「いや、確認は戻ってからにしよう
   君の報告書は誰よりもよくできてる
   後でも問題はない」

 『そ、そうですか…恐縮です』


ドクターQにとってハイTは憧れでもある
その憧れのヒトに褒められて嬉しくないはずがない
ドクターQは嬉しそうにふわりと笑みを浮かべた
ハイTもドクターQの笑顔に口元を緩めた


 T「では、私は戻るとしよう
   ドクターQ、
   次は呼びかけに一度で気づくように」

 『はい!』


2人はそれぞれの片付けなければならない仕事に戻っていった

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