長編

□5
2ページ/2ページ


リーの自宅に着き中に入ると
リーが投げたであろうナイフがテレビに刺さっている
画面にヒビが入りテレビが映ることはない


 『テレビ、買い替えなくちゃですね』

 リ「……そのうちな」


リーはカレンの腕を引いてソファーまで来ると
カレンを腕に抱きしめながら横たわった
決して大きなソファーではない
だが、2人身を寄せ合えば問題はなかった
リーは甘えるようにカレンの首元に顔をうずめた

なにかを話すことなく寝るわけでもない
ただ長い時間その状態が続いた


 『……』

 リ「…あいつは大馬鹿だ」

 『リー?』

 リ「…だんだん腹が立ってきたな」


リーは独り言を言うようにしゃべりだす
カレンはそんなリーの様子に
抱きしめる腕の力を強くして
思い切り抱き付いた


 リ「どうした?」

 『…甘えたくて』


リーとバーニーの付き合いはずっと長い
共にくぐり抜けてきた修羅場の数は数えきれない
リーは最後までバーニーについていく覚悟だった
その覚悟を一方的に、納得できないバーニーの
身勝手な思いで断ち切られてしまった
カレンは自分の状況より、そんなリーの気持ちを
痛いほどわかっていた
だからこそ、今のリーを抱きしめずにはいられなかった


 『バーニーも今頃は後悔をしていますよ
  リーたちを置いていったことを』

 リ「そうだろうな」

 『何でもかんでも一人で背負いこもうとする
  バーニーの悪い癖です、馬鹿です』


リーはいつにも増して辛口なカレンに
珍しこともあるもんだと口元を緩ませた

 
 『そんな馬鹿な人には
  次に会った時に言ってやるんです
  私たちはバーニーが思うほど
  簡単には死なないと
  なめないでください、と』

 リ「……お前は最高の女だよ」


リーは嬉しそうに笑っていた


 リ「そういえば、あの蹴りはなかなかだったな」

 『リーのナイフには負けますよ』


.
次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ