長編

□ニューヨークと約束
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ホ「カレン、君の情報もある」

 『聞きたくないので結構です』

 デ「いや、聞かせろ」

 
なぜかカレンの話題になった
完全なる飛び火である


 ホ「カレン・サリバン
   身内のほとんどが政府組織の人間でありながら
   高い戦闘能力と分析力、多彩なスキルを活かし
   傭兵として暗躍していた
   …ミスターノーバディからの情報だ」

 デ「……そのわりに名前が広がってねぇな」

 『顔とか身元とか…割れないように必死に隠して
  活動していたんです
  そのミスターノーバディから雇われたこともあります』

 ホ「見た目はおとなしそうなお嬢さんなのだがな」

 『……人は見かけによりませんからね』


デッカードはカレンの強気な言葉に気分が上がり
自分の胸の中へと両腕で抱き寄せる


 デ「いいねぇ、おい筋肉野郎、
   見かけに騙されてぶっとばされてみたらいいんじゃねぇか?」

 ホ「貴様の将来は情けなく尻に敷かれるのが目に見えてるぞ」

 デ「お前はすでに尻に敷かれてるんじゃねぇか?
   でかい図体は見た目だけってな」

 ホ「カレンはお前にはもったいない女性だ
   せいぜい見限られないように気をつけるんだな」


2人はまた顔を突き合わせ皮肉を並べ笑いあった
このやりとりが無くなることはないらしい

ホブスはデッカードとさんざん笑いあったあと
2人の元から離れていきその場に残ったのは
デッカードとデッカードに抱きしめられているカレン


 『……息はぴったりのなんですけどな』

 デ「ふざけたことを言ってんじゃねぇぞ」

 『デッカードとホブスが手を組んだら向かうところ敵なし、ですね』

 デ「やめろ、考えただけで吐き気がする」


デッカードの様子は表情を見るかぎり
本当に嫌なようだ


 『……ミスターノーバディはホブスに
  ある意味ではいい部分の情報しか
  渡さなかったんですね』

 デ「そうらしいな、
   だがあの野郎は知らなくてもいい情報だ」


カレンとデッカードの出会い
カレンの携わった仕事内容
カレンの身内について
それらを知る者はほんの一握りであり
その一握りの中にはデッカードがいる


 『これが終わったら、私も連れていってくださいね』

 デ「どこにだ?」

 『どこにでも
  ホブスが言ったように私はもう弱くありません
  他人を通して花束をもらうのはもう御免です
  貴方と修羅場を潜り抜けられるだけの力はあります
  ……見かけだけじゃない、それを証明してみせます』


デッカードの腕の中で目を見て言い切った
カレンは自分の力を過信して言っているわけではない
ミスターノーバディに雇われる、それを意味するのは
国家や政府から認められた実力があるということ
カレンは決して妥協をしなかった
今までの10年近くスキルを磨き、経験を積んだ
途中でやめなかったのは過去の出来事とデッカードの存在

そして今がチャンスだと思った
この機会を逃せば、またデッカードと離れてしまうと


 『さっきはちゃんと返事をもらえませんでしたから
  ……だめですか?』

 デ「ッハ、……いや最高だ
   ほんとに見ない間に頼もしくなりやがった
   お前はほんとにいい女だ」


デッカードは片方の手は背中に残したまま
もう一方の手をカレンの後頭部に添え
自分の顔に近づけるように持ち上げた
2人の顔は鼻がくっつきそうなほど近くにある


 『デッカード…』

 デ「覚悟しろよ
   もう離してやれねぇからな」

 『…約束ですよ』


デッカードはさらに顔を近づける
カレンも合わせるように目を閉じ少し背伸びをした

2人は唇を重ねた

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