長編

□始まりはベルリン
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 テ 「ざまあみろだ!」

 ラ 「アハハ!」


ローマンの状態に笑っているテズとラムジーを後方に、レティとカレンの乗る車はドミニクの車と並んだ。
レティはドミニクと目を合わせたが、硬い表情のドミニクに何か違和感を感じた。


 レ 「……どうかした?」

 ド 「全部終わったら話す……」


カレン自身もドミニクの姿こそは見えないが、耳に入るドミニクの硬い声色が気になった。


  『……』

 ホ 「みんな良くやった!!一度散って隠れ家で会おう!!」


ホブスの声を合図にカレン・レティ・テズ・ローマン・ラムジーは右へ、ホブス・ドミニクは左へと別れた。
カレンとレティに不安を残したまま、車は隠れ家へ向かう。
ドミニクの車との距離が開くほど不安は大きくなっていった。


  『……レティ、』


カレンは先ほどのドミニクの様子がやはり気になり、レティへ声をかけようとしたとき……ホブスから無線が入った。


 ホ「 っあの野郎が裏切った!!」


その無線は、不安を現実へと変えていった。


 レ 「っなに?!」

 テ 「いったい何の話だ?!」

  『誰が裏切ったんですか?!』

 ホ 「ドムがパルス砲を奪った!!」

 ロ 「っ馬鹿言うなよ?!?!」


全員がホブスの言うことを信じることができず、戸惑いを隠せない。
レティはすぐにでもドミニクの元へ向かおうとした。


 レ 「……っ今どこ」

 ホ 「俺に構わず逃げろ!! あいつの目つきは…… 昔に戻ってた 」


昔に戻ってた、その言葉に思い当たる者は息をのんだ。
 

 ホ 「 ドミニク・トレットはもう仲間じゃない 」


ホブスの言葉に全員が凍り付いた。
理解が追いつかい……


 レ 「……」

  『っここは逃げましょう!! ……今戻っても、警察に捕まるだけです!!』

 テ 「っそうだな…… 」

カレンの言葉に、戻りたい気持ちを抑え車は隠れ家へと速度を上げるのだった。



夜が明けるころ、無事に……始めより人数は減っているが、隠れ家へと戻ってこられた。
テズはすぐにドミニクがなぜ裏切ったのか、その手がかりを調べはじめた。


 テ 「電話の通話記録だけは調べがついた、相手が特定できない番号にたくさんかけてる」

 ロ 「プリペイドの電話か?」

 テ 「いや、盗聴されない特殊な装置が付いた電話だ」

  『……つまり、彼は私たちとはレベルの違う相手と話をしていたってことですね』

 ラ 「ドムをよく知らないけど、今、わかっている事実は…… ドムは正体不明の誰かと秘密のやりとりをしてたうえ、ホブスを事故らせ電磁パルス砲を奪って消えたこと」

  『私もラムジーと同じようにドミニクをよく知りません、 ……ドミニクの行動によりホブスが警察に捕まったと同様に私たちも現在、危険にさらされていることは事実』


ラムジーとカレンは同じころにドミニクと知り合ったため、他のメンバーよりも付き合いが浅い。
そんな二人の紡ぐ言葉に、空気がぴりついた。


 テ 「……だから何だ?」

 ラ 「つまりホブスが言ったとおり、ドムは裏切ったのかも」


   バン!!!


レティは叩きつけるように車のドアを閉めた。
それはラムジーやカレンにそれ以上しゃべらせないようにするためにも思えた。


 ロ 「レティ……」

 レ 「そうやって決めつける前に、自分がドムに命を救われたことを思い出しな」


レティはラムジーに拒絶するように肩をぶつけ、カレンを睨み付けて階段を駆け上っていった……。


 『……(すごく、嫌な予感がする)』


カレンはまだ知らない、その予感が的中してしまうことを。

これから思ってもみなかった人物との再会が待っていることを……。
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