Harry Potter  ビル

□"叫びの屋敷"
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2週間のOWL試験が始まった。城は異様な静けさに包まれた。
会場は大広間、個人用の小さな机が教職員テーブルの方に向けて設置されている。

―――それは長い長い、2週間だった。

最後の試験が終わると、多くの生徒が試験から解放された喜びをあらわにしていた。
両手を上に突き出したり、肩を組んで笑い合っていた。

クラルスは夕食を終え談話室に戻ってきた。
しかし、ここで違和感に気がついた。
どこを見てもハリー・ロン・ハーマイオニーの姿が見えないのだ。

『(夕食の時にはいたけど、それっきり・・・)』

クラルスはそっと談話室を抜け出した。
なんとなくだが、胸騒ぎがした。
クラルスは真っ先にルーピン先生の部屋に向かった。
ルーピン先生の手元には"忍びの地図"がある。それを見せてもらうためだ。

しかし、ルーピン先生は不在だった。
どうしようかと悩んでいるときに、後方から人の足音が聞えたためとっさに隠れてしまった。

『(なんで隠れてしまったのかしら・・・)』

足音の正体はスネイプ先生で、手には例のゴブレットが握られていた。
スネイプ先生はルーピン先生の部屋に入っていったが、間もなくして出ていった。
・・・その顔は、なんとも不気味な笑顔を浮かべていた。

クラルスはいけないと思いながら、ルーピン先生の部屋に入り込んだ。
とてもシンプルな部屋で隅には水魔が静かにケースに入っている。
そして机の上には、開きっぱなしの"忍びの地図"と中身の入ったゴブレット。
"忍びの地図"をみてクラルスは目を見開いた。
スネイプ先生が不気味な笑顔を浮かべていた理由が、そこにあったのだ。

・・・死んだ人間の名前、そしてシリウス・ブラックの名前があった。
それと同じ場所にハリー・ロン・ハーマイオニーの名前。
その場所に向かおうとするルーピン先生の名前。

スネイプ先生の名前は自分の研究室に戻っていくように見えたが、
あの表情を見る限りスネイプ先生もその場所に向かうのではないかと想像ができる。

クラルスはとっさに地図とゴブレットを引っ掴み、"叫びの屋敷"へ向かった。

地図を見て最短距離を探して走った。
なんとかスネイプ先生よりさきに叫びの屋敷に来ることができたのだ。


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