Harry Potter  ビル

□帰還
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ハーマイオニーの話では、ハリーとロンが大量に点数を増やし
今年の寮対抗優勝杯はグリフィンドールが獲得した、
また学校からのお祝いとして期末試験がキャンセルになった。
ロックハートが学校からいなくなったため、
《闇の魔術に対する防衛術》のクラスもキャンセルになった。

図書館、
クラルスは一通の手紙と向き合っていた。
手紙の差出人はビルである。
今回のことをウィーズリー夫妻から聞いたらしいビルは、
末っ子の妹と彼女を同時に失ってしまうかもしれないと気が気でなかったという。
無事でよかった、心配したという文章が長く綴られている。

『(どうしよう…心配かけちゃった…どうしよう…)』

クラルスは手紙の返事をすぐに書いた、書いたはいいが、
返事を出すだけでいいのか迷っていた。

『(直接、伝えたいけど逢えないし・・・)』

クラルスがどうしようかと唸っていると、
ハーマイオニーが心配そうに声を掛けてきた。

「お姉ちゃん、どうしたの?さっきから難しい顔をしているわ」

『ハーマイオニー、たいしたことじゃないの・・・
 ただ、返事に迷っているだけなの・・・』

誰に対しての、とは言わなかったが、賢いハーマイオニーなら
クラルスが誰と手紙のやりとりをしているかすぐにわかった。
ハーマイオニーは手紙をちらっと盗み見ると
返事は書き終わっているのがわかったため、
あとは、なにか一工夫をしたいのだと気がついた。

ハ「無事を伝えたいのよね?」

『えぇ・・・』

ハ「私、いい方法を知ってるわ」

ハーマイオニーはそういうとクラルスに荷物をまとめさせ、図書館をでた。
そのままついていくと、一年生のコリン・クリービーに声を掛けた。

彼もバジリスクの被害に合い、無事に治った生徒だ。

ハ「コリン、お姉ちゃんの写真を撮ってほしいの」

『え?どういうこと?』

ハ「写真よ、お姉ちゃん。
  今すぐ会えないなら写真で元気な姿を見せたらいいんだわ!」

『そ、それは、はずかしい気が・・・』

ハ「それが一番よ!コリン、どうかしら?」

コ「もちろんいいよ!」

ハーマイオニーはクラルスの制止の言葉を聞かずに廊下に立たせ
身だしなみを整えさせると、少し離れてコリンの隣に立った。

ハ「お姉ちゃん、笑って!」

『笑ってって・・・』

コ「なにか嬉しいことを思い出すといいよ!」

『うれしいこと・・・』

ハ「そうよ!彼のことを思い出して!」

クラルスはハーマイオニーの言葉に思わずビルのことを思い出した。
その時、コリンだカメラのシャッターを切る音が聞えた。
ハーマイオニーもコリンの横で叫んでいる。

『も、もう撮ったの?』

コ「最高の表情だったよ!最短で現像して渡すからね!」

コリンはそう言うと、廊下を走っていってしまった。
ハーマイオニーは嬉しそうに駆け寄ってくる。

ハ「お姉ちゃん!すごく可愛かったわ!」

『自分じゃわからないわ、一瞬だったもの』

ハ「本当よ!!好きな人を思い浮かべると、
  あんなにも可愛く笑えるのね!」

『好きな人・・・』

クラルスは自分の顔に熱が集まるのがわかった。
ほんの一瞬、ビルのことを思い浮かべただけなのに、
ハーマイオニーのいうほど表情に出てしまっているのかと思うと
恥ずかしくてたまらなかった。
クラルスは恥ずかしさをごまかそうと、ハーマイオニーに抱きついた。

ハ「お姉ちゃん、心から大好きなのね」

ハーマイオニーも自分のことのように笑ってクラルスを抱き返した。

数日後、コリンから出来上がった写真を受け取った。
写真を見てみると、確かに写真の中のクラルスは幸せそうに笑っている。
クラルスはすぐに手紙と一緒に封筒に入れて、ウィンクルに持たせたのだった。

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