Harry Potter  ビル

□失った妹と真犯人
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そこにジニーがやってきた。
緊張しているのか顔が強張っている。

ロ「どうした?」

『顔色が悪いわ、大丈夫?』

ジニーは黙ったまま、グリフィンドールのテーブルを端から端まで眺めている。
その表情はとても怯えていて、ためらっている。

ジ「あたし、言わなければいけないことがあるの・・・」

『ジニー?』

ハ「なんなの?」

3人はジニーが話すのを待つが、なかなか言葉が出てこない。
ハリーは前かがみになり、ロンやジニー、クラルスにだけ聞こえるように
小声で話した。

ハ「《秘密の部屋》に関することなの?何か見たの?
  誰かおかしな素振りをしているの?」

ハリーの言葉で決心がついてようにジニーは深呼吸をした。
その瞬間、折悪しく、パーシーが疲れた表情で現れた。

パ「ジニー、食べ終わったのなら、僕がその席に座るよ。腹ペコだ。
  巡回見回りが、今終わったばかりなんだ」

ジニーは飛び上がり、そそくさと立ち去ってしまった。
クラルスはジニーの様子がどうしても気になり、立ち上がって追いかけた。

大広間を出てジニーの姿を探すが見つからない、
歩き回るうちにようやくジニーを見つけることができた。

『ジニー!!』

「!!」

ジニーはクラルスの声に肩を大きく揺らし、
恐怖に包まれたような顔でクラルスを見上げた。

『ジニー、大丈夫?それに、一人でここにいては危険だわ』

ここは最初の犠牲者ミセス・ノリスが石になり、
赤いメッセージが未だに残されている廊下だった。
クラルスは赤いメッセージが最初の時よりも増えていることに気がついた。

《彼女の白骨は永遠に秘密の部屋に横たわるであろう》

『なに、これ・・・』

ジ「・・・なさ、い」

『え?』

ジニーの瞳には涙が溜まっていた。
クラルスは考えた、なぜジニーはここにいるのか、なぜ泣いているのか、
ジニーがなぜ・・・その手にリドルの日記を抱えているのか。

『その日記・・・ジニー、貴女が・・・』

「あた、し・・・」

『・・・いえ、違う、貴女じゃない』

クラルスは思い返した。
ジニーは事件が起きた日は記憶がない、と。
もしあの日記を捨てたのがジニーなら、やめたい友達とはリドルなのでは?
あの日記はただの日記じゃない、ハリーに過去を見せられるくらい力がある。
リドルがハグリッドを密告した…本当に?勘違いで?違う、恐らく嵌めたんだ。
ハリーはあの日記に書き込んだら返事が来たのと同じで、
きっとジニーも日記に書き込んでリドルと会話していたんだ。
そして、石になった生徒たち、ハリーにしか聞こえない声、
この2つが示す怪物も大体の予測がついた。

クラルスの頭の中で、パズルのピースが埋まっていくような感覚だった。

『・・・操られて、いた?』

リ「正解だよ」

ジニーの後ろにゴーストのようにぼんやりとしている青年が立っていた。
彼が誰なのかはわからないが、友好的ではないことはわかる。

『・・・だれ』

リ「この日記に持ち主といえばわかるだろう?」

『リドル・・・?!』

クラルスはこの青年がリドルだということはわかり、
ローブから杖を取り出そうとした。

リ「それは止めた方がいいよ、僕になにかしたらこの子がどうなるか・・・」

『っ!!』

ジ「ごめっ、なさいっ」

『・・・大丈夫よ、ジニー』

大丈夫と言ったが、その根拠はなにもなかった。
ジニーが人質に取られていることには何もできない。
ジニーが心配で追いかけてきただけなのに、
こんなことになるとは少しも思っていなかった。

リ「さぁ、ジニー、移動しよう。
  もちろん、君も一緒にね」

クラルスは従うしかなかったが、ここで殺されないだけ安心した。
しかし、リドルはそんなクラルスの胸の内を見透かしたように、
一言、付け加えた。

リ「君は、象徴になるんだよ」

『しょう、ちょう?』

リ「サラザール・スリザリンの崇高な仕事をした象徴としてね」

この言葉に背筋をぞっとさせたクラルス。
クラルスはジニーと共に歩き出したが、その道のりは死への階段のように思えた。

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