Harry Potter  ビル

□クリスマス休暇
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「顔、すごく赤くなってるよ」

『っビ、ビルが、その、えっと、』

言葉を紡ぎたいが恥ずかしさが勝って、うまく紡げない。
こんな経験を今までしたことがない、けど、悪くないと思った。
ビルはクラルスの想いを汲んだように、イヤリングをさわっていた手を
そのまま赤く染まる頬を包むようにふれた。

『、ビル?』

「・・・クラルスが、好きだよ」

『!!』

ビルの目は真っ直ぐにクラルスを見ていた。
その目は真剣さを語っていて、冗談ではないことがすぐにわかった。

「たったの2回しか君と逢ってないけど、十分だった。
 逢ってなくても手紙を読むたびに君に惹かれていったよ」

『ビル・・・』

「困らせてるのはわかってるけどね。
 伝えておかないと、他の男に取られてしまいそうだから」

ビルは優しく、申し訳なさそうに言った。

「返事は今じゃなくていい、
 ただ、考えてはほしいかな・・・」

『―――』

「クラルス?」

ビルは何も言わないクラルスを不安そうにのぞき込んだ。
頬にあった手も今は離れてテーブルの上にある。

ビルの言葉にクラルスは自分はどうなんだろうと考えた。
2回しか逢ってない・・・でも、一度目からもう惹かれてた
手紙・・・返事が来るのが待ち遠しかった、来れば嬉しかった
他の人・・・ビルがエジプトで他の女性と歩いている姿は想像したくない

でも・・・、

『…私は、ビルと7つも離れてるわ』

「年のこと言ってる?
 そんなの気にしてたら、告白なんかしないよ」

『でも、子供だわ・・・』

「僕には、立派な女性に見えるよ」

『っホグワーツを卒業してからもどうなるかわからないわ』

「・・・卒業とかその先のことまで考えてくれてるってことは、
 期待してもいいのかな?」

クラルスは、ハっとした。
ビルの言う通り、クラルスが言っていることはそういうことだった。
クラルスはビルと恋人になるのが自分でいいのか、ただ自分に自信が持てないだけだった。

『…私、人を好きになったことはないの』

「うん」

『はっきりとは、言えないわ、自信もないの』

「うん」

『私・・・』

クラルスは自分にも問いかけるように、話した。
ビルは口を挟まずに、静かに聞いて頷いてくれる。

『ビルの言っていたことは私も同じなの、
 ・・・同じ気持ちなの』

テーブルの上に置かれたビルの手に、クラルスは自分の手を重ねた。
深呼吸をして、ビルの目を真っ直ぐと見た。

『・・・ビルが好き、なんだわ』

ビルはクラルスの言葉を聞いた瞬間、すごく嬉しそうな顔をして、
重ねられた手を一度解いて、指を絡めるようにして繋ぎなおした。

「自信なんてなくていいよ、それはこれから僕が持たせるから。
 ・・・恋人に、なってくれる?」

『…よろしく、おねがいします』

クラルスは頬を赤く染めてはにかみながら、答えた。


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