Harry Potter  ビル

□クリスマス休暇
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ホグワーツが始まる3日ほど前、今日はビルと逢う約束の当日。

今回はダイアゴン横丁ではなく、
クラルスのいるマグル界で逢うことになっている。
クラルスは髪をハーフアップに束ね、暖かいコートとマフラーに身を包み、
バレッタとイヤリングがちゃんと付いているか確認をして家をでた。
両親から「今度、その恋人を紹介してね」という言葉を頂いた…。
聞かなかったことにした…。

街中に出て大通りに面した、あるカフェに入った。
今回はクラルスが指定したマグルのこのカフェで待ちあわせ、
ここはハーマイオニーとも来たことがあるお気に入りのカフェ。
カフェに入るとビルはまだ来ていなかった。
クラルスは、わかりずらい場所だったかなと心配になった。

席に座り、待つこと数分・・・ビルが入ってきた。
ビルは店内を見回してクラルスの姿を見つけると、
嬉しそうな表情を見せてクラルスのもとに歩み寄った。

「ごめん、待たせちゃった?」

『いいえ、私も少し前に来たばかりなの。
 ここ、わかりにくくなかったかしら?』

「ぜんぜん、初めて見るものが多いから見ながら歩いてたら
 遅くなっちゃったんだ」

『よかった、』

ビルはクラルスの前に座り、紅茶を注文した。
始めはビルの仕事について話していたが、
次第に最近のホグワーツの話題にうつっていった。

「手紙、読んだよ。ホグワーツは大変みたいだね…」

『うん…、みんな怯えてる、とくにマグル出身の人がね』

「クラルスは?」

『・・・え?』

私?とクラルスは聞き返すようにビルを見た。
ビルは険しい顔をしながら、頷いた。

「君もマグル出身だろ?手紙でも今も、周りばかり心配してる。
 君自身はどうなのかって・・・」

『…あんまり考えたことなかったかも』

ハーマイオニーはハリーやロンとなにか企んでるし、
フレッドとジョージは相変わらず悪戯三昧だし、
クラルス自身が犠牲者と同じようになるかもしれない、とは思ってもいなかった。

「君が周りを心配してるように、
 妹さんやフレッドにジョージも君を心配してるはず。
 だから、クラルスも十分に注意してほしい」

『そう、よね・・・』

「もちろん、僕もね。
 僕は双子たちと違って近くにいられないから…」

『ビル…ありがとう…』

クラルスはビルの気持ちがすごく嬉しかった。
彼を悲しませないように気をつけようと思った。
近くにいられないことにもどかしい思いをしているビルに、
クラルスは少しでも安心してもらえるように微笑んだ。

『これからは自分の心配もするね』

「そうしてくれると安心かな。
 …ところで、このマフラー、すごく付け心地がいいよ」

ビルは暗くなった雰囲気を変えるように、話題を変えてくれた。

『本当?それはよかったわ!』

「ありがとう、
 …君も僕が贈ったもの、つけてくれてるんだね」

『っもちろん!すごく気にってるわ!』

「とっても似合っているよ、やっぱりその色はクラルスによく合ってる」

『ありがとう、ビル』

「・・・君がそれをつけてると、」

ビルがテーブル越しに手を伸ばして、
クラルスの耳についている薔薇のイヤリングにふれた。
イヤリングにふれるビルの手の感覚にクラルスの頬は自然と赤く染まっていく。

「・・・まるで、僕のものって言ってるみたい」

『っな・・・』

クラルスはビルの言葉に目を見開いて固まった、と同時に、
耳まで赤く、顔全体がとても熱くなった。
ビルはそんなクラルスを見て笑みを浮かべた、手はまだイヤリングから離れない。


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