Harry Potter  ビル

□決闘クラブ
2ページ/5ページ


次の日の月曜日、
コリン・クリービーが襲われ医務室で死んだように横たわっている
というニュースは、学校中に広まっていた。
1年生は1人で行動すると襲われてしまうと怖がって、
固まってグループで移動するようになった。

ジニー・ウィーズリーはコリンと授業で隣り合わせの席だったので、
すっかりと落ち込んでいた。
フレッドとジョージが励まそうとしていたが逆効果だった。
おできだらけになったり、毛を生やしたり、銅像の影から飛び出したり…
その行動にパーシーはカンカンに怒っていた。
クラルスも双子に対してはパーシーと一緒に怒ったのだ。
やがて先生に隠れて魔除けやお守りなどの護身用グッズが取引されるようになった。

11月の半ばが過ぎたころのとある夜、
チームメイトが寝静まったころ、クラルスはふくろう通信販売を見ていた。
全部に目を通してはまた始めから…を何度も繰り返し、ため息をついた。

『・・・決まらないわ』

眉間にしわを寄せながら小さく呟いた。
なにを悩んでいるかというと、もうすぐでビルの誕生日なのだ。

クラルスは今までにビルから、
スノードーム、ミニブーケ、髪留めをもらっている。
どの贈り物もとてもセンスが良い。
せっかくビルに誕生日を教えてもらったのだから、
私からもなにか贈りたい、と思うのは当然だった。
贈りたい、けど肝心のプレゼントが決められないのだ。

『(高価なものは贈れない、食べ物もだめ・・・。
  できれば普段から使えるものがいい・・・。
  背伸びしても失敗するだけだから、
  私らしく尚且つビルでも使えるもの…共通で好きなもの?)』

今までやりとりした手紙の内容を思い出す。
でも、手紙で書くことはお互いが体験したことばかりで
好みの話はほとんどしていない。

『(・・・あ、本)』

そういえば、と思い出した。
ビルから、こういう本を読む、と紹介を受けたことを思い出した。
もちろん紹介された本はすぐ手に入れて読んで、感想も伝えた。
クラルスはふくろう通信販売のある所に目をやった。

黒革の生地に青い薔薇の線刺繍が入った栞だった。
青い薔薇の花言葉は「神の祝福」や「不可能からの奇跡」
呪い破りをしているビルにはピッタリだった。
栞といえどシックな見た目は男性に贈っても不自然ではない。

クラルスはさっそくふくろう通信販売でこの栞を取り寄せた。
取り寄せている間にバースデーカードも用意した。
丁寧に、心から気持ちを込めて。

そして届き次第、ビルの誕生日に間に合うように
クラルスのワシミミズク「ウィンクル」に持たせたのだった。

12月に入ると、マクゴナガル先生が
クリスマス休暇中に学校に残る生徒の名前を調べに来た。
そこにハリー・ロン・ハーマイオニーが名前を書いた。
クラルスは例年通り、家に帰ることにした。
両親に会うためでもあるが、ハーマイオニーが帰らないことの
上手い言い訳をするためでもある。
フレッド・ジョージ・パーシー・ジニーも残るという。
フレッドとジョージは「こんな面白い時に帰るなんてもったいない」と。
パーシーは「こんな時だからこそ監督生として先生を手伝う」と、
ジニーは「兄さんたちが残るなら私も残る」と、
ハリー・ロン・ハーマイオニーは何やら企んでいるらしいが…

あるとき、ハリーがフレッドから「フィリバスターの長々花火」を
受け取っている光景を目にした。
クラルスは珍しいなと思い、フレッドに話しかけた。

『フレッド、ハリーとなにかあったの?』

「姫、なんでも次のスネイプの授業で使うらしいぜ」

『スネイプ先生の?ハリーが??』

「ああ、今までに受けた嫌がらせの仕返しだそうだ!
 いいな〜、俺もその時は授業に参加してみたいぜ」

『・・・ばれたら大変じゃない』

「そこは優しい先輩から後輩にためになるアドバイスも送ったさ!」

『ためになる、ねぇ・・・』

ハリーの目的は知らないが、
フレッドとジョージの仲間にだけはならないでほしいとクラルスは思った。
あと、スネイプ先生にばれませんように、と

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ