Harry Potter  ビル

□ハロウィーン
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その時、クィレル先生が全速力で大広間に駆け込んできた。
ターバンは歪み、顔は恐怖で引き攣っていた。

「っトロールが……地下室に……お知らせしなくてはと……」

それだけ言うとクィレル先生は気を失って倒れてしまった。
大広間はたちまち大混乱となった。
ダンブルドアが杖の先から爆竹を爆発させて、大広間に静けさを取り戻した。
ダンブルドアの声が響いた。

「監督生よ、すぐさま自分の寮の生徒を引率して寮に帰るように」

グリフィンドール寮の監督生パーシーが声を上げて生徒を連れていく。
右往左往しているハッフルパフの一団を掻き分けて進もうとしたとき、
クラルスは妹の姿を必死に探していた。

多くの生徒がいろいろな方向に行き交ってる中、
遠くでハリーとロンが寮とは反対の方向に向かう姿が見えた。

フ「姫!見つけた!」

ジョ「よかった!はやく戻ろう!」

『……ぁ』

フレッドとジョージがクラルスを見つけ、早く寮に避難しようと話しかける。
クラルスも双子と一緒に寮に戻りたかったが、
見つからないハーマイオニーと反対方向に向かうハリーとロンが
どうしても気になってしまった。

『……ごめんね……っすぐ戻るから!!』

「「姫?!」」

双子には申し訳ないと思いながら、クラルスはハリーとロンを追いかけた。
双子もクラルスの後を追おうとするが多くの生徒が行き交う中、
クラルスの姿は生徒に紛れて見失ってしまった。

ハリーとロンの後を追いかけ地下室に向かうと、
そこには嗅いだことのないひどい悪臭が漂っていた。

そして奥の女子トイレから唸り声と物が壊れる音が聞こえた。
さらに聞き覚えのある声が聞こえた。
クラルスは杖を取り出し、女子トイレに飛び込んだ。

「っお姉ちゃん!!」

女子トイレに入ると、洗面台のほとんどが壊され、
ハーマイオニーは奥の方で壁に張りついて座り込み、
ハリーとロンは杖や瓦礫を手にしていた。
……3人の中央には天井にまで届くような高さのトロールが
巨大な棍棒を振りかざしていた。
あの巨大な棍棒をくらったらひとたまりもない。
クラルスの体は考える間もなく動いていた。

『っプロテゴ!!』

ハリーに向かって振り落とされた棍棒は盾の呪文によりはじかれ、
トロールの攻撃は失敗したが、今度はクラルスが標的になった。

「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!!」

ロンは浮遊呪文でトロールの棍棒を奪うことに成功した。

『っステューピファイ!!!』

間髪入れずに失神呪文を紡いだクラルスのそれは命中し、
トロールは失神状態となりうつぶせに倒れた。
ロンが奪った棍棒も音を立てて地面に転がった。

ハリーとロンは大きく息を吐き出し、
ハーマイオニーは震える足でクラルスのもとに駆け寄り抱き付いた。

「お姉ちゃんっ!!」

『ハーマイオニー!!大丈夫なの?!』

クラルスも妹の無事を確認するようにきつく抱きしめ返した。

そして女子トイレにマクゴナガル、スネイプ、クィレルが
飛び込んできた。
3人の目には失神したトロールが映り、状況の説明を求められた。

「マクゴナガル先生!!3人は私を探しに来たんです!!」

『ハーマイオニー?!』

クラルスは突然声を上げたハーマイオニーに驚愕の表情を見せた。
ハーマイオニーはクラルスから離れ、マクゴナガルに向き合った。


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