Harry Potter  ビル

□ハロウィーン
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ハロウィーンの朝、
クラルスは飴玉の袋を抱えて談話室に降りてきた。

「「姫!おはよう!」」

『おはよう、フレッド、ジョージ』

「「トリック・オア・トリート!!」」

クラルスが飴玉を持ち歩いたのは主にこのためだった。
ハロウィーンはこの双子のためにあるようなもの、
お菓子を渡さないと笑えない悪戯が待っている。

『はい、どうぞ』

クラルスは双子の掌にそれぞれ3個ほどの飴玉をのせた。

ジョ「やっぱり姫は用意してたか〜」

『あたりまえでしょう?悪戯なんてされたくないもの』

フ「え〜、つまんないの」

『……もし持ってなかったらどんな悪戯をするつもりだったの?』

双子は顔を見合わせてニッと笑い合い、
クラルスの両隣に移動した。

『??』

フ「どんなって……」

ジョ「こんな感じかな」

双子はそれぞれクラルスの肩に手を置いて、
素早く顔を近づけた。
クラルスは思わず固まってしまった。
フレッドは右から、ジョージは左から、
同時にクラルスの頬にキスを一つ落としていったのだ。
それが理解できた時には、クラルスの顔は真っ赤に染まっていた。

『っな、なにっ……!!』

フ「なにって、なぁ相棒?」

ジョ「決まってるよな、相棒?」

「「これが悪戯さ!!」」

『お菓子あげたのにっ!!』

お菓子をもらって悪戯も成功したフレッドとジョージ
お菓子をあげたのに悪戯をされてしまったクラルス
なんとも平和なハロウィーンの始まりだった

この後は顔を真っ赤に染めて機嫌を損ねたクラルスを
どうにかして許してもらおうと奮闘する笑顔の双子の姿が目撃された

クラルスはその日に午後、まだ見ぬハーマイオニーの姿を探していた。
ハーマイオニーのために用意したお菓子を渡せていない。
大広間に向かう途中でハリーとロンを見つけたため、
彼らなら妹の居場所を知っていると思い話しかけた

『ハリー!ロン!』

名前を呼ばれた2人はクラルスの顔を見たとたん気まずい表情になった。
クラルスはその表情を見てなにかあったのだと察した。

『……ハーマイオニーの姿が見えないのだけど、知らない?』

ロ「あ、あ〜…知らない、よ、な?ハリー」

ハ「う、うん……」

『そう……』

明らかに何かを隠しているハリーとロン
それがハーマイオニーに関することだというのはすぐにわかる。

『ケンカ、でもしたの?』

「「……」」

クラルスは聞き出そうとするが、2人は口を開かない。
それどころか目線を合わせようともしなかった。
ハーマイオニーのことだから姉のクラルスには言いにくいのかもしれない。

『……ハーマイオニーはとても真面目で融通の聞かないところあるわ』

ハーマイオニーの話をすると2人はゆっくりと顔をあげて
話を続けるクラルスを見てくれた。

『時にはきつい言動も……でも、わかりにくいけど、
 周りの間違ったことを正そうとしているの。
 …ハーマイオニーは魔法界に入って知らないことばかりで、
 知らないことを知りたい衝動に駆られているの。
 ようは、浮かれているのよ、新しい世界に
 無邪気に新しい玩具で遊ぶ子供のようにね』

クラルスは苦笑いを浮かべながら言葉を紡いだ。

『いきすぎたことを言ってしまったかもしれない、
 でも、それはまだあなたたちが子供だから。
 ……思うところがあるなら、お互いに話してみて、
 それで解決できて、理解し合えることもあるから』

クラルスは2人の髪をそっと撫でた。

『ごめんね、勝手にしゃべって』

ロ「……僕、ひどいことを言っちゃったんだ」

『でも、それはロンだけが悪いわけじゃないでしょう?』

大丈夫、とロンの頭を撫でた。

ハ「僕、一人っ子だけど、もしお姉さんがいたらクラルスみたいな人がいいな」

ロ「ほんと、ビルみたい」

『ハリー、すごくうれしいわ
 ビルって一番上のお兄さんよね?下に6人もいると私なんかより
 よっぽどしっかりしてそうだわ』

ロ「そうかい?フレッドやジョージといるときのクラルスは
 2人のお姉さんみたいだよ?」

『確かにあの双子には手を焼いているけど……
 それ以上に、何倍も双子には助けられているのよ?』

クラルスは夕食に遅れないようにこの辺で話を終わりにして、
3人で大広間のハロウィーンパーティーに参加した。
ハーマイオニーのことも心配だったが、夕食には現れるだろうと思い
学校中をむやみに探すより大広間にて待つことにした。



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