短編・番外編

□可愛い理由
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ドクターQはその言葉に思わず目を合わせてしまった
ハイTの真っ直ぐ見つめてくる目に目線を逸らせない
期待を、してしまった


 『私…ハイTの声が、好きで…』

 T「声?」


突拍子もないことを言い出したドクターQに
ハイTは困惑し首を掲げた


 『いつも、耳元で呼ばれて
  びっくりするけど、呼ばれるのがうれしくて……』

 T「……」


ドクターQの言葉に静かに耳を傾けるハイT


 『っだから、その、私自身は
  この癖も悪くないって言いますか……
  迷惑かけてるのは、理解していたんですけど、
  呼ばれるのを、その、期待してたって言いますか…
  いえ、そうではなくて……』

 T「……ようするに、
   私に呼ばれたくて癖を治さなかったと?」

 『も、もちろん努力はしてます
  ……でも、その』

 T「ハァ……」


ハイTは思わずため息を吐いてしまった
ドクターQの悪い癖がなかなか治らなかった理由が
まさか自分の声が好きで名前を呼んでほしいから、と
そんなことを考えもしなかったハイT
他のエージェントに嫉妬していた気持ちが無くなり
その代わりドクターQの可愛らしい理由に
頬が緩まずにはいられない
ハイTは笑みを浮かべながらまた耳元に口を寄せた


 『っ!!』
 
 T「ドクターQ
   では、約束してくれ」

 『っは、い…』

 T「もし考え事をするなら私の近くでしてくれ
   そうすれば君を呼ぶことができ、
   無防備な君を見せなくても済む」

 『っはい…』

 T「あと、考え事をしていなくても
   君が望むなら、私は喜んでいくらでも
   こうして話をしよう」

 『っぁ…』


ドクターQは今までで一番長くハイTの声を
耳元で聞いていたため体から力が抜けて
足元から崩れ落ちそうになるが
ハイTはより強く腰を抱く腕に力を込めて
崩れ落ちそうになるドクターQの体を抱きとめた
そのおかげでお互いの体はさきほどよりも密着した
ドクターQはハイTの肩に手を置いて
顔を隠すように顔を肩に押し付けた


 『望むならって……
  いじわる、です……』

 T「…返事を聞いてもいいかな?」

 『……そんなの、決まってます』


ハイTは、よろしくお願いします、と小さな声で
イエスの返事をするドクターQの恥ずかしそうな姿が
とても可愛く見えた
真っ赤に染まり涙目を浮かべる顔も
肩に置かれた手から伝わる体温も
全部がいとおしく思えた

2人はまだ仕事が残っているが
当分はこの体制を崩せそうにない
ドクターQの体に力が戻るまで
力が戻りかけてもまたハイTが声を掛ければ
力が抜けて元通りに
仕事に戻るにはまだまだ時間がかかりそうだ


後日、ドクターQが
周りが見えなくなるほどの考え事はなくなった
呼ばれたらちゃんと反応ができるようになった
しかしその分、ハイTの仕事部屋で考え事をしていたり
ドクターQの仕事部屋にハイTの姿を
見かけることが多くなったという

そして誰も見ていないとき、
2人は身を寄せ合い話をしているとか……


―――――――――――

MIBインターナショナルを見て
ハイTの虜になりました
勢いで作った小説です
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