短編・番外編

□可愛い理由
2ページ/3ページ


数日後のドクターQ仕事部屋―……


 T「ドクターQ」

 『うーん……』

 T「……」

 『量を増やすと扱いが……』


ハイTはドクターQの悪い癖に頭を悩ませた
この数日間、ドクターQが例の悪い癖を連発している
悪い癖が出るのは仕事部屋の中だけではない
支部の中や現場、どこでも悪い癖がでては
そのたびに他のエージェントたちがドクターQの
腕や肩、中には腰を触って話しかける
それを何度も目撃しているハイTは
内心、もやもやさせていた


 T「ドクターQ」

 『ふあぁぁぁ!!』


ハイTはドクターQの耳元で名前を呼んだ
また肩を飛び上がらせ距離を取ろうとするドクターQ
しかし今回はそれを許さず、腰に腕を回し
引き寄せて互いの体が密着した
ドクターQは思わず顔をあげるとその距離は
背伸びをすれば鼻先がくっついてしまうくらい近かった


 『ハ、ハイT!!』

 T「君は何度言えばわかってくれるんだ?」

 『えっ?』

 T「何度言ったら、君の無防備な姿を
   他のエージェントに触れられずにできるんだ?」

 『む、ぼうび……!!』


ドクターQはハイTがなんのことを言っているのか
理解できた、しかし、
それがなぜ今、この抱きしめられているような状況に
繋がるのかは理解できない
ただただ、密着する体からハイTの体温や匂い、
重低音の声が直に耳に感じることに
ドクターQの体温も上がり、顔は真っ赤に染まった


 『あの……えと……』

 T「どうしたら、
   その癖を治してくれるんだ?」

 『ど、努力は、してます……』


ついには顔を見ることさえ恥ずかしくなり
目線を下げ俯いてしまったドクターQ
ハイTは俯くドクターQの髪からのぞく
赤く染まった耳に口を近づけた


 T「ドクターQ」


名前を一言、呼んだ
先ほどよりも甘い、重低音の声が響いた
ドクターQの体はびくっと震え
おずおずと顔をあげた
真っ赤に染まった顔には涙目が加わっていた


 『っも、恥ずかし、すぎてっ…』

 T「…だが、こうでもしないと
   君は意識してくれないだろう?」

 『……っ考えごとを、するたびに
  このことを、思い、出しそうです』

 T「それで治るなら、いいんじゃないか?」


ハイTは満足そうに笑みを浮かべた
ドクターQはこの状況に落ち着くことはできず
顔は上げたが目線はいろんな方向にいってしまう


 『ハイTはなぜ…その…
  私なんかに、えっと…』

 T「君が他のエージェントに触れられるたびに
   私はそのエージェントを追い払いたくなる
   ……見苦しい嫉妬だ」

 『それって……』


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ