家族日記

□みんないい子になれば平和になる
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アイリ「ふう……」

アル「どうしたの、母さん」

アイリ「あ、アル……ううん、ちょっとね、肩が凝っちゃって。もう歳ね」

アル「……母さん、いつもお疲れ様です」

アイリ「あえて『何があったの』とは聞かないアルの気遣いに、ママ涙が出そうだわ……」

アル「そりゃ、ね。端で見てれば何となく分かるよ」

アイリ「はあ……皆がアルみたいに素直だったらね……キャラは腹黒だしエドは変態だし、その上政宗と幸村が毎度毎度問題起こして私が呼び出しくらうからもう」

アル「本当、お疲れ様」

アイリ「ああ、ごめんね、愚痴っぽくなっちゃった」

アル「いいんだよ。僕だって家族の一員なんだから、せめて愚痴ぐらい聞かせてほしいな。手伝えなくてごめんね、正直、僕じゃみんなを抑えるのは難しくて」

アイリ「ああいいのよ、アルはそんなこと考えなくても。家族を抑えるのはわたしの役目なんだから……ふう」

アル「……母さん、肩、揉んであげようか?」

アイリ「え?」

アル「あ、いや、その、変な意味じゃなくて」

アイリ「ふふっ……何照れてるのよ、私達親子でしょ?」

アル「そ、そうだよね、あははは……」

アイリ「そうね……お願いしようかしら」

アル「うん、分かった……ええと、この辺、かな」

アイリ「ああ、うん。そこそこ」

アル「強さはこのぐらいでいい?」

アイリ「もうちょっと強く……そうそう、上手じゃない、アルったら。なんか慣れてる感じ」

アル「あはは。実は、いつもラチェット先生に肩揉み頼まれてるんだ」

アイリ「……その先生って、どんな人?」

アル「え? うーん、真面目な人、かなあ。皆は怖いって言うけど、僕はあんまり怒られたことないんだ」

アイリ「若い人?」

アル「うん。多分20代ぐらいじゃないかなあ」

アイリ「独身?」

アル「うん。美人なのに何でだろうねって皆噂してるぐらいだよ」

アイリ「……アル、お母さん思ったわ。今後、あんまりその先生に近づかない方がいいかも……」

アル「どうして?」

アイリ(……何でわたし相手だと若干照れるのに、その先生には平気で……そっか、先生だから女の人として意識してないのね。ふふっ、まだまだ子供ね、アルも)

アル「母さん?」

アイリ「あ、ごめん、なんでもない。……はあ、それにしても上手ねえ」

キャラ「さっきから何やってんですかママ、気色悪い声出して……」

アイリ(ぴくっ)

アル(うわっ)

キャラ「あ、なんだ、肩揉みですか。はははは、いつも以上に年寄りじみて見えますよマミー」

アイリ「……アル、ありがと。キャラー、ちょっとおいで。あなたの肩も揉んであげるから」

キャラ「え、いいよ僕は。いつもアズに揉ませて……いや、揉んでもらってるし」

アル(揉ませてるんだ……っていうか、あああ、母さんから危険な気配が……逃げてキャラーっ!!)

アイリ「まあまあ、遠慮せずに」

キャラ「しょうがないなあ。ま、僕の柔肌に触りたいという母さんの下心を汲んであげましょう」

アイリ「(ビキビキッ)……ふふふふふ、それじゃ、たっぷり揉んであげるわ」

キャラ「うんうん……へえ、これはなかなか……あ、あの、ママ?」

アイリ「んー、なあにー?」

キャラ「その、力強すぎ……揉むというより潰すといった方があいだだっ! い、痛い、痛いですお母様!」

アイリ「お黙り! 肩のついでにあんたの人格も揉みほぐして少しは柔らかくしてやるわぁっ!」

キャラ「ぎゃあああああああっ! ちょ、そこ、そこはっ!」

アイリ「そうか、ここか!? ここがええのんかぁ!?」

アル(……母さんの肩こりを治すには、まずキャラをどうにかしないとなあ……)

尾張


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