story

□Deborah's theme~friends
2ページ/3ページ

1階の本屋さんの入り口でファイさんにおはようございますと言って奥の階段を上る。
ノックをしたらルシさんが出てきた。

「ごめんね、ガイアはまだ着替え中なんだよ。夜中に汗をかきすぎたみたいだから汗疹にならないようにシャワーを浴びさせてたんだ。
ほら、ガイアは肌が弱いからさ。もう少し待っててね。」
「わかりました。」

そういうことなら入るわけにはいかない。
おとなしく階段に座って待つことにする。

ケーキの包みに鼻を寄せると、バターと砂糖の甘いにおいがする。
ちょっとだけ包みを開けて見ると、包み紙に押されてクリームとブルーベリーが少し崩れていた。慌てて指で押してなおしてみたけど、なんだか上手くいかない。指にクリームがたくさん付いてしまったので、舐めてごまかした。甘くておいしい。
だけど形は崩れたままで、しかたがないから1番バランスを崩しているブルーベリーをそっとつまんで食べてみた。砂糖漬けのブルーベリーもおいしい。おいしいけど、ブルーベリーの色がクリームに残っていて、このままだと俺がつまみ食いしたってことが一目瞭然だ。
しょうがないからケーキを少し割って、色の付いてしまったクリームごと食べてみた。土台のスポンジケーキの部分も、少し紅茶のにおいがしてとてもおいしい。ブルーベリーとクリームももう少しだけ、と齧ってみて、全体のバランスをもう一度確認してみた。

だめだ。どう見てももう半分くらいしかない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ