story

□Caresse Sur L'ocean
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その後、各自教室に置きっぱなしにしていた教本や文房具をまとめ、休み中の振る舞いについて教官のかなり長めのお話を聞いて昼前に解散した。
渡り廊下は締め切った室内よりは涼しい風が通るが、強すぎる日差しを遮るものはない。

待たせすぎたかもしれないと焦りながら渡り廊下に向かった。またライナーが倒れてたら教官のせいだ。
だから渡り廊下のすぐ入り口に逆光で真っ黒いシルエットが立っているのが見えて安心した。

「ごめん待たせた!教官の話が長くって。」
「いいよ、休み中の注意の紙読んでたから。」
「こっちの教室の方もそれを配ってくれればよかったのにな…」
「でもこれがあると親にずっと注意されると思う。」
「そうか…紙に残るのも難儀だな…」

ライナーが用紙を背嚢にしまうのを待って歩き出す。

「休み中はライナーは何して過ごす?僕は家で本読んでようと思ってて。」
「また読書か?たまには運動しろよ…休み明けにみんなが日焼けしててガイアだけ真っ白のままとか恥ずかしくないのか?」
「別に…いや待てそれ恥ずかしいのか?じゃあ外で本読めばいい?」
「どんな格好で読む?」

こんな感じ、と充分日が当たるように足をまっすぐ伸ばし、本の影が足にかからないよう首だけ下を向いて本を読む姿勢をとってみせた。

「ふーん…脚の前半分と…腕と…首の後ろ…だけか。すごい惨めな日焼けだ。」
「んんん…ヘルプ…ライナー…ライナーの…予定は?」
「ガイアを誘って外で運動する。」
「ライナー…!助かる!課題手伝うよ!」
「そうか?じゃあわかんなかったところ教えてくれ。」
「うん!どこ聞かれてもいいように帰ったら早速課題進めるよ…ああ…それか…今日!今日うちで一緒にやる!?」
「は?!なんで課題にそんなハイテンションなんだ?!」
「いや、課題じゃないよ!友達がうちに来るかもと思ったらなんかわくわくして…!」
「お前本当に友達いないんだな…」
「それで?!うちに来る?!来るの?!来るなら一旦帰って課題以外の荷物置いてきた方がいいよね…ライナーの家って近い?近かったら僕も寄っていい?」
「わかったわかった行くから落ち着けって…うちはあんまり近くない。一度帰って荷物置いてくるから大通りの市場の端で待ち合わせ…でどうだ?」
「それなら逆にうちに寄ってった方が早いかもな…うちは大通りの市場の奥の方で本屋やってるんだよ。」
「じゃあガイアんち見てからうちに荷物置きに行って来る。」
「僕は準備してるね!」
「はいはい…」

そうしている間に収容区の入り口まで来た。
市場はすぐそこ。
市場を抜ければ僕の家もすぐそこ。
そして友達が家に来るのも、すぐそこだ。
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