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□パリは燃えているか
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どんな有利な勝ち戦でも、前線というのはいつもどこか暗い空気を帯びている。
どこもかしこも硝煙の匂いがするし、ほんの数十メートル向離れた塹壕には機銃や手投げ弾を備えた敵兵がいて、お互いに殺し合いの隙を窺っているのだから当然と言えば当然だ。

先刻の夕立を区切りに静かになった塹壕の中をアドルフと俺は歩いていた。
頭が半分無くなった者。その隣で蹲って休む者。次の号令に備えて補充をする者。
彼らが故郷に平和を持ち帰ることが出来るように、ひいてはこのマーレの勝利のために、俺たち士官は少しでも自軍の生存率の高い作戦を考えなくちゃならない。

そんな状況だってのに、アドルフ曰く最近のガイアとジェーンの行動が上層部に問題視されているらしい。
なんでも2人が捕虜と称して敵兵を匿って私兵化だの、物資の横領だの、反逆だの、エルディア復権だの。

古い仲だからこそ事実無根とは思うものの、なんの調査もせずに上に報告するわけにもいかない。
だから俺たちは今、ひとまず最前線あたりにいるジェーン班の動向を確認すべく向かっているのだ。
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