story

□Dulaman
1ページ/2ページ

春の間、僕たちは渡り廊下で待ち合わせしては近くの森へ遊びに行った。図書室で植物や動物の図鑑を調べ、天気のいい日は森に入って草や動物の痕跡を探して遊んだ。
森の奥には川があり、僕たちはそこへ飛び込めるような暑い日を心待ちにしていた。

「今日は虫取りしようよ。昨日図鑑でかっこいい虫を見つけたんだ。」
渡り廊下に来るなりそわそわと落ち着きなくガイアが言った。
「虫なのに鎧を着ていて、ツノを使って戦うんだって!見た目は濡れた石に似てるんだけど、ちゃんと生きてるんだよ!」
「カブトムシのこと?ガイアはいつも草ばかり見てるから、木にくっついてる虫はあんまり見てないもんな」
「うん…ライナーは虫詳しいんだね。カブトムシを見たことあるの?」
「詳しいわけじゃないけど…カブトムシは見たことある。今くらいの季節なら森にいるかもしれない。」
俺がそう言うとガイアは嬉しそうに俺の手を掴んで森に引っ張っていった。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ