story

□Ave Maria
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僕たちの教室は違うようで、ライナーは「知ってる人じゃなくてよかった」とはにかんだ。
それがどんな意味であれ、これから知り合う友達としては好印象ではじめられたようで安堵した。お互いが教室でどう扱われてるかなんて知らなくても、僕たちは友達になったのだ。

午後の始業のベルが鳴って教室に戻ると、隣の席の男の子が「もっとそっちに行けよ変態。お前のせいで俺がホモだと思われるだろ。」と僕の脇腹を小突いた。
僕に気があるわけでもないだろうにずいぶん失礼な心配事だ。僕より男の友達が多いくせに人間関係の全てをそういう目でしか見てないなら君は既に充分ホモだよ、と思いながら僕は黙って机の間を開けた。
ライナーはどうしてるだろうか。さっき言っていたポルコとかいう子に、また足を引っ掛けられてなければいいけど。
僕は午後の講義が始まっても鉛筆の時のようにライナーを心配をしていた。
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