story

□Deborah's theme~friends
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「ライナーすぐ開ける!もう少しまってて!」

急に家の中からガイアの声がした。
まずい。もう全然残ってない。
しかも俺の歯型つきだ。これをあげるわけにはいかないんじゃないか?
慌てて残りも口に詰め込んで証拠隠滅を謀る。
ばれないように包み紙を丸めてポケットに押し込んだところでタイミングよく扉が開いた。

「おまたせライナー!おはよう!」
「いや大丈夫。そんなに待ってない。ガイアこそもういいのか?髪の毛とか濡れてないか?」
「大丈夫だよ。ちょっと濡れてた方が頭涼し…いし…ライナー、何か食べてた?」
「いや、食べてない。食べてないぞ。」
「じゃあちょっと目をつぶってみてくれよ。」
「ことわる!なんで目をつぶらないといけないんだ!」
「食べてないんだろ?嘘じゃないなら目をつぶってくれよ。」

慌てて口のまわりを舌で舐めてケーキのかけらを回収しながら目を閉じた。大丈夫。もうなにも付いてないはず。

しかしながら俺の隠蔽工作は全く無意味だったようで、俺のほっぺたについていたクリームをぺろりと舐めとったガイアに「あまい!おいしい!ずるい!」と怒られて全てを白状するはめになったのだが…正直なところ、俺はそれどころじゃなくなっていた。
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