Princess in baker street

□prologue
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ロンドンに今年1番の寒さが訪れた日、まだ無名の探偵、シャーロック・ホームズは彼女に出会った………


「シャーロック!お願い、私はいいの!!だから、だからその子を!!」

必死に叫ぶ女性の顔は恐怖に引きつり、男性に何かを訴える。
男性は考える素振りを見せたが結論は出ない。相談内容はストーカーだ。
日に日に悪化していくのに耐えられなくなったらしく調査をお願いされた。
「何が目的だ?たかが"恋愛感情"ごときで人生を狂わせr」
「黙れ!!!」
警察が来るまでの時間稼ぎをと口を開いたが女性を人質にしている今回の事件の犯人が銃をこめかみに当てたため口を閉ざす。
「シャーロック…」
そう呼ばれた男性は顔を上げて学生時代の同級生である女性を見た。
今は相談者だが。


「まぁま……」
この場に不釣り合いな声を発した子供は必死に短いを腕を母親へ向けた。
「さぁ、選べ……。こいつを殺すかガキを殺すか…」
ニヤニヤ気味の悪い笑みを浮かべる犯人を1度見て深くため息をついた。
"Love"や"Like"の感情が人より格段に少ないシャーロックにとって、このような行動に出る理由がわからないのだ。
まして、好きなのに殺したいなどどれだけ頭を使っても理解出来るはずもなかった。

「3…」
急に始まったカウントダウンにシャーロックの目が大きく開かれる。
「待て、待つんだ!」

「2…」
「シャーロック!!お願い、その子は"特別"なの!!」

「1…」
「子供だ…、子供は助けてくれ…」

シャーロックの小声を聞きとった犯人は口角を思い切り上げた。
「ありがとう…、ありがとうシャーロック。さようなら、私の可愛いりゅう……。あとは頼んだわ…」
女性はさっきまであった顔の引き攣りも恐怖ゆえの震えもいつの間にか綺麗に消え去り、静かに笑った。

----パァン!!

頭を撃たれた女性は即死し犯人の手をすり抜けて前へと倒れた。犯人は背を向けて走り出す。
シャーロックはすぐさま犯人が窓から外へと逃げていくのを追いかける。

ーーーキキーッ!!ドンッ!

逃げるのに夢中の犯人は道路へと飛び出し運悪く乗用車と激突した。
そこにちょうど駆けつけた警察官たちが犯人を取り囲んでいるのが見えたためシャーロックは踵を返して急いで家へと戻った。

「まぁま、おきないね」
「…あぁ、もう二度と。」
最後に相談者で知り合いの女性が守った小さな命が母親に抱きついていた。
「すまない……」
シャーロックの小声が聞こえなかったらしい子供が不思議そうに首を傾げた…………
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