Princess in baker street

□2.
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夕方に少し外出して帰ってくるとちょうど良くジョンが来ていた。
「ホームズさん」
「シャーロックと。」
「高そうな場所だ。」
周りを見渡しながらジョンが言った。
「家主のハドソン夫人が特別価格で提供を。夫の死刑判決に関して僕が手助けした。」
シャーロックに買ってもらった棒付きキャンディーを食べながらりゅうがジョンと距離をとった。
「やぁ。」
しゃがんで握手しようと手を出したジョンから逃げてシャーロックの足にしがみつく。
「りゅう、そういうのは良くない」
「あぁ、いいんだ。気にしないでくれ。
ハドソン夫人の夫を死刑から救った?」
「死刑確定にした」

扉があくとハドソン夫人が出てきてシャーロックとハグした。
りゅうは空いた扉からすぐに中へとはいると壁に手をついて階段を登り始める。
追いかけるようにシャーロック、ジョンと続いた。
まだ体の小さいりゅうが1段ずつ登っているのにすぐ追いついたシャーロックが両脇に手を入れて宙に浮かせるとそのまま一気に登りきる。
「後ろが詰まってるぞ」
杖をついているジョンはゆっくり登っているから詰まっているのはシャーロックだけなのだがそう言われてムッとした顔をした。
シャーロックは気にもせず自分の特等席へりゅうを投げるとジョンと部屋を見てまわる。
「よさそうだな、いい部屋だ」
「僕もそう思った」
「ゴミを片付ければ…」
片付けをしないシャーロックの部屋はかなり散らかっていた。
普段りゅうがいくら言っても片付けないくせにジョンの一言で片付け始めたからさらに機嫌は悪くなる。
「君たちのもの?」
「もう少し片付けることは出来るよ」
「骸骨だ」
「友人さ、比喩だけど」

「どう?ワトソン先生。寝室が2つ必要なら上にも」
ハドソン夫人が上がってきてジョンに問いかけた。
いつもはりゅう、りゅう、と構ってくれる2人が自分以外の誰かを優先することが面白くないのか飴を咥えたまま1人がけソファーに丸まった。

「もちろんふたつで」
「この界隈には寛大よ。お隣には同性の夫婦が」
ハドソン夫人の誤解を解く気もないシャーロックを見て小さなため息を漏らすとりゅうの前のソファーへクッションを直してから座った。

「君は何歳?」
「………」
「りゅう」
無視したことを咎めるような口調のシャーロックに頬をふくらませるとジョンへ指を3つ立てた手を突き出した。
「3歳にしては随分しっかりしているね」
「…わたしは"とくべつ"だもん」
「どういう意味?」
ジョンの問いには首を振った。
わからないのか教えたくないのか、無理に聞くことなど出来なくて話題をそらす。
「君のパパのサイトを見たんだ」
「誰がパパなんだ?僕のことか?」
「そうだ、"推理の科学"。ネクタイや指を見ると職業が分かると?」
「そうだ、君の顔や脚から軍歴が携帯から兄のことがわかる。」
シャーロックは方法を尋ねたジョンを無視して窓から外を覗いた。
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