短編・中編/番外編

□花冠/毛利元就【短編】
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「元就様、持ってきましたよ」

「ふむ、入れ」

「はい。どうですかこれ、真田から持ってきた団子。絶対美味しいですよ!」

「参れ、貴様も甘味を好むだろう」

「ありがとうございます!では一本いただきます」

「フン。………黒花、何故貴様は忍なのにいつも暇なのだ?」

「心外ですね!私だって忍なんですから暇なわけないですよ。仕事が早いんです、闇討ちでも何でも。それに安芸は私の癒しなんですよ、風景も綺麗だし、兵達も優しいし、元就様とのお茶も楽しいですし」

「…そうか」



「美味しかった。ありがとうございました。それでは私は失礼しますね、また色々回って来ます」

「あぁ、また甘味を持ってこい」

「はーい、わかりましたよ」

そう言って黒花はふわりと風になって消えた。




「…退屈ぞ」

また団子を口に入れ、小さなため息を吐く。

黒花は、あの丁寧だが馴れ馴れしい口調に反して中々聡い。

軍略の話でも二刻以上は余裕で話せる。

だが黒花も元就も天下に興味がない。

そして甘味の方が何倍も好きだということで此処では甘味の話を中心としている。

黒花が甘味を持ってきて二人で食べ、茶を飲みながら話をする。

そんなひとときを………月に1〜2度やって来る黒花を………密かに楽しみにしている元就であった。
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