短編・中編/番外編

□狐の舞/猿飛佐助【獣化逆trip】
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狐を拾った。

いや、うん。

拾っちゃったんだなー。






お正月に神社へ初詣に行ったとき。




お参りを済ませ、御籤を引く。

結果は……………大吉!!!

どれどれ…
思いもよらない出会いがあるでしょう
…か。





この時は御籤の結果が本当になるとは思わなかった。





恒例行事が終わり、家に帰る。

家の前まで来たとき、道の脇から白いふさふさした物体が飛び出してきた。

「ふぁ!!」

その物体はぴょんっと跳ねたかと思うと私の腕の中にすっと収まった。

「え!?あれ?」

すごくびっくりしたが、その物体を落とすことができない。

恐る恐る腕の中を見てみると蹲っている………狐?

…なんか可愛い。

ぷるぷると震えるその体はぎゅっと抱きしめたくなる。

「寒いの?」

こくりと頷く狐さん。

野狐なのに汚れは一つも無く、綺麗な白色をしている。

着物にスカーフを巻いていた私は狐さんにスカーフを巻いてあげる。

すると此方を向き、目を細めた狐さん。

笑っているように見えてとても嬉しくなった。

そっと狐さんを降ろし「じゃあね、風邪引いたらダメだよ?」と言い、家に入ろうとする。

ガチャリとドアを開け、家の中に入る。

靴を脱ぎリビングへ向かう。

電気をつけてソファに座る。

すると隣に、ぽふんと何かが乗った。

あまりにふわふわだったから撫でた。




………あれ?

「ちがくない!?…何で入ってきちゃったの?………もう、仕方がないな」

ぷるぷる震えていた狐さんがばっと顔をあげる。

「はぁ…仕方がないから狐さん、今日は泊まっていきなさい」






ということで狐さんが泊まることになった(…甘いな私)。

…ふわふわもふもふで可愛いー!

目一杯撫でてあげる。

「お風呂入る?」

狐さんはこくりと頷く。

「言葉わかるの?」

またこくりと頷く。

マジか、すごーい。




お風呂場に行って大きめの桶にお湯を溜める。

狐さんはそこに入り、気持ち良さそうにしている。




お風呂からあがり、タオルで狐さんの体を拭いてあげる。

それだけでは乾かないのでドライヤーで乾かす。

音にびっくりしていたけど、直ぐに慣れたらしく大人しかった。

可愛くて思わずキスをしてぎゅーっと抱きしめる。



私もお風呂に入ってリビングへ行く。

ソファで丸くなっていた狐さんに「おやすみ」と告げて寝室へ。

ベッドに横たわると直ぐに睡魔が襲ってきて、そのままゆらゆらと眠りに落ちていった。



―――深夜2時。

ガチャリと寝室のドアが開く音がした。

狐さんじゃないよね。

目は開けずに寝たフリをする。

…どうしよう、これ…まさか、泥棒とか!?………マジで?

……………あれ?足音しないな、気配もないし。

なんて思っていたその時。

いきなり私の上に何かが乗った。

「ひゃっ!」

驚いて声をあげて目も開けた。

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