遊戯

□今時の魔法少年【学園編】

■もう、どうにでもしてください……■


 諦め気分で夕食の後、部屋に戻ってきたオレを翔真が当たり前のようにベッドに押し倒す。
 服装をあの派手なスカートに変えない翔真に妙な趣味じゃないんだと意味もなくホッとしてしまった。
 それでも女っぽくもないオレにその気になる時点で充分変だが……
 服を脱がされ、身体中を触られながら何度も口づけられて、綺麗な顔越しに天井を見ながら何か忘れている気がしたまま繰り返される甘い味の口づけに応えるようにゆっくりと目を閉じた。

「いい夢を……」

 ぽつりと零れた言葉が妙に耳に残った。

**********

「何か、忘れてないか?」
「さあ?」

 オレと同じ制服をきた翔真がべたべたと身体に触ってくる。
 今更なのでかってにさせておきながらオレはのんびりと空を見上げた。
 平和だ……
 翔真はオレと同じ学校に転入してきて、オレと一緒にくらしている。
 何か忘れている気もするのだが、翔真はオレに触るだけで満足しているようだし、オレも最近表情の出てきた翔真と一緒にいるのもされるのも楽しくなってきてしまっていて、あまり深く考える気にならない。

「まぁ、いいか……」

 オレの部屋の隅で忘れられた杖が埃を被っていた。

**********

「亨。亨」
「残念ですが……いつ目覚めるかはわかりません」
「そんなっ」
「稀有な症状なのでこちらでこのまま目覚めるまでの面倒を……」

 カツカツと冷たい靴の音が色のない建物の中に響く。

「耐性がないと目覚めないのは予想外だったな。まぁ、いい実験にはなったか」

 何枚もの資料を手にくすりと笑う少年の視線の先にはベッドへと横たわったまま眠り続ける人影とその人影に縋りつき泣いている女性の姿。

「さて、次の抽選先は……」

 眉ひとつ動かさずに少年は静かに振り返りそのままどこかへと消えていった。


【覚めない夢】 ※翔真エンド1※




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