遊戯

□今時の魔法少年【学園編】

■やっぱり、怖いからイヤだ。■


「手伝ってくれなくていいよ」
「……そうか」

 あっさりとそういうと翔真は窓辺に向かって歩き出した。
 窓に足をかけたかと思うと一瞬の間で飛び降りてしまう。

「ええっ!」

 驚いて窓から下を覗いても翔真の姿はどこにもない。
 後に残されたのは奇妙な仮装の自分だけだ。

「え……ちょっと……」

 手伝わないって、側にもいなくなることなのかと少し呆然としてしまう。
 怖いより訳が分からない方がましとは思ったが少し速まったかもしれない。
 だからといって、引き留めようにももう翔真の姿はどこにもなくて……

「どうしよう……」

 どうやればもとの姿に戻るかもわからないオレは途方にくれるしかない。
 しかし、そういうときに限って下から母さんの呼び声が聞こえてくる。
 これは……逃げるべきなんだろうか?
 こんな格好を見られてしまったら何と思われるか分かったものじゃない。
 その間にも待ちきれなかったらしい母さんの階段を登る足音が聞こえてきて……

「亨」

 ガチャッと扉が開けられた。
 オレはとっさに扉の影に隠れた。が、そんな場所で見つからないはずもなくて結局、あっさりと見つかってしまった。
 それもこれも無駄にひらひらとしたスカートがいけないんだっ!

「亨……あなた……」

 母さんの呆然とした顔を見て、本当の事を言うのと、黙っているのとどっちがましかと考える。が、どっちにしてもおかしくなったと思われてもしかたがない。

「……学校を止めなさい。田舎に帰ることにするわ」
「えっ……」
「男子高なんてにかよってるからそんな事になったのよ。田舎にいって普通にくらしたら治るから心配しなくてもいいのよ」

 強引な意見にオレは反論する余裕もない。
 違うという暇もなく、オレも父さんも母さんに連れられるように田舎へと連れられていくのだった。
 そしてオレの手には訳の分からない杖だけが残った……


※エンド2※




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