遊戯
□今時の魔法少年【学園編】
■関わりたくないから今すぐ逃げ出す。■
杖を翔真にどうにか押し付けたオレは学校に行く気もなくしていたのでそのまま逃げるように家へと向かった。
できれば電波なお人には関わりたくない。だからといって本物にはさらに関わりたくなかった。
いままでこんなに走ったことないという勢いで駆け抜けて家に飛び込み、母さんの不審そうな声を無視して部屋に向かう。
布団に入って眠ればこれは夢ってことで……
そしてドアを開けたところでオレは固まった。
「なななな……なんでいるんだっ!」
「説明の途中だったからな」
振り切ってきたはずの翔真が部屋の真ん中に座ったままお茶を飲んでいた。
「亨。なにばたばたしてるの、翔真クンが驚くでしょ」
さらに後ろから聞こえた母さんの声に油のきれた機械のようにオレはゆっくりと振り返った。
「母さん、こいつ、知ってるのか?」
「何言ってるの。時子がお嫁に行った見城さんのところの弟さんよ。ご両親が海外に行くからうちで預かるって昨日言ったでしょ」
「し……しらな…………」
「時子の部屋が片付くまで部屋を貸してあげてね」
聞き覚えのない事にオレがぱくぱくしている間に、母さんは言いたいことを言うと下へと降りていった。
「お前っ、何をしたんだっ」
「翔真だ……」
仕方なく現況に掴みかかったオレの前で翔真は表情一つ替えずにお茶を飲んでいる。
「少し、記憶と環境を調整させてもらった。これで君と一緒にいることに違和感がなくなるだろう」
「そういうことじゃなくてっ、オレはイヤだって言っただろうっ!」
「君に拒否権はない」
さらりと言い切り翔真が手にもったステッキのスイッチを入れる。と同時にオレはまたあの恥ずかしい格好になってしまった。
「戻せよっ」
「似合っていると思うがな」
ジリッと近づいてきた翔真はオレの肩に手を触れると見た目とは不似合な力でばたりとオレの身体を床へと抑え込んだ。
「脚も綺麗だ」
わけないだろっと怒鳴る間もなく、片手がオレのむき出しの太ももの内側を撫で、そのままじりっと上へと登ってくる。
ひーっ!!こここ……これって貞操の危機っ!
悪趣味らしい翔真の無表情を見上げながらオレは本気で怯えていた。
- ※怖いから言うことをきく。
- ※怖いけど、イヤなもんはイヤだっ。
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