むばたまの闇のうつつ

□え避らぬ事のみいとど重なりて
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ナルト「さーて、暴れるぜぇ・・・」



口から流れてた血を左手で拭って、自信満々に言うナルト君。

腹を括ったみたいだね。



再不斬(分身)「クク・・・えらい鼻息だが、勝算はあるのか」



カカシ「(マ・・・マズイぞ)」


カカシ「お前等何やってる!逃げろって言ったろ!俺が捕まった時点でもう白黒ついてる!

俺達の任務はタズナさんを守ることだ!!それを忘れたのか?」



ナルト「おっちゃん・・・」


タズナ「・・・・・なぁに・・・もとはと言えばワシがまいたタネ。この期に及んで超命が惜しいなどとは言わんぞ。

すまなかったな、お前等・・・。思う存分に闘(や)ってくれ」


サスケ「フン、」




カカシ「っ・・・アカネ君!セツナ君!全員を連れてこの場から逃げてくれ!君達なら再不斬との力の差ぐらい分かるだろう!?」



その言葉に、やる気満々だったナルト君達の不安に揺れた視線が一斉にあたしとアカネに向けられる。

止めてよー、こっちは目立ちたくないんだってば。



セツナ「アカネ、あたしが先生と同じ意見だったとして言うこと聞く?」


アカネ「ごめん、聞かねぇ!」


セツナ「皆への説得は不可能。

なら、足止めを皆に任せて、あたしがタズナさんを連れて逃げるっていう選択肢もあるわけだけど・・・他に仲間がいないとは限らない。1人で守り切るのもほぼ不可能。


となると、残された道は応戦しかなさそうです、カカシ先生」




カカシ「!」




サスケ「・・・という訳だ」


ナルト「覚悟はいいな・・・」



再不斬(分身)「クッ・・・クックックックッ・・・・ほんっとに!成長しねえな」



ナルト「何ィ!!」



再不斬(分身)「いつまでも忍者ゴッコかよ。

俺ぁよ・・・お前等くらいの歳の頃にゃ、もうこの手を血で紅く染めてんだよ・・・・」



ナルト・サスケ・サクラ・タズナ「!(ゾクッ」




カカシ「鬼神・・・再不斬!」


再不斬「ほう・・・少しは聞いたことがあるようだな」


カカシ「その昔、〈血霧の里〉と呼ばれた霧隠れの里には忍者になるための最大の難関があった・・・」


再不斬「フン・・・あの卒業試験まで知ってるのか・・・・」



ナルト「・・・あの卒業試験・・・・?」



再不斬(分身)「・・・クククッ」



ナルト「何なんだってばよ、あの卒業試験って?」



ナルト君がそう尋ねても、再不斬は笑うのを止めない。

良い話ではなさそう・・・。


数秒してやっと笑わなくなったと思ったら、再不斬は顔を上げて・・・



再不斬(分身)「生徒同士の〈殺し合い〉だ」



ナルト「(え・・・?)」


アカネ「!」


セツナ「、」



カカシ「・・・・・・」



再不斬(分身)「同じ釜の飯を食った仲間同士が2人1組になりやり合う・・・。どちらかの命尽きるまで・・・・。

それまで助け合い、夢を語り合い、競い合った仲間だ・・・」



サクラ「酷い・・・」



カカシ「10年前・・・霧隠れの卒業試験が大変革を遂げざるを得なくなる。

・・・その前年、その変革のキッカケとなる悪鬼が現れたからだ・・・・」


サクラ「変革・・・?」



再不斬(分身)「・・・・・・」



サクラ「変革って・・・?その悪鬼が何したっていうの?」



カカシ「なんの躊躇もなく・・・なんの躊躇いもなく・・・・

まだ忍者の資格も得ていない幼い少年が100人を超えるその年の受験者を喰らい尽くしたんだ・・・」



再不斬(分身)「楽しかったなぁ・・・アレは・・・・(ニイッ」



狂気的な笑顔を浮かべる再不斬の視線があたし達に向く。

途端、ビリビリとした鋭利な殺気が体に突き刺さる。


瞬きをした瞬間、サスケ君が再不斬の分身の肘で殴り飛ばされてた。無駄に速いな、こんちくしょうが。

サスケ君に二撃目が入れられる前にあたしは2人の間に割り込んだ。


両腕をクロスさせて再不斬の分身の左拳を受け止める。



セツナ「サスケ君、下がって。あたしとアカネで君達の作戦会議の時間ぐらいは稼げる」



複雑そうな顔をするサスケ君。そんなにあたしに・・・ううん、女に庇われるのが嫌だった?

でも、今の君の実力じゃしょうがないんだよ。



再不斬(分身)「またテメェか」


セツナ「水分身はオリジナルの10分の1の力しか持たない。だったらあたし達にもやりようはある」


再不斬(分身)「!」



横合いからアカネが飛ばしたクナイを再不斬の分身は寸でのところでかわす。

バックステップで離れようとする再不斬の額当ての長い布をあたしが掴んで、そのまま顎に右のアッパーを入れる。


だけどその右手は掴まれて、片手で簡単に放り投げられちゃった。



アカネ「!セツナ!」


セツナ「っ・・・大丈夫」



地面に数回バウンドするも、受け身はちゃんととった。

大したダメージじゃない。



ナルト「俺だって!俺だって!!」


ナルト「(影分身の術!!!)」



大声を出すナルト君が見たことのない印を結ぶ。

途端、術が発動してあの子の分身がたくさん現れた。


水分身じゃない。これって、もしかして・・・



セツナ「影分身・・・?」



再不斬(分身)「ほー・・・影分身か。それもかなりの数だな・・・・」



ナルト’s「「「いくぜぇ!!!」」」



ナルト君が影分身と共に一斉に襲い掛かる。

だけど、どれだけ手数を増やしても再不斬の包丁みたいな武器に簡単に吹き飛ばされちゃう。



タズナ「(やっぱり超無理じゃ・・・。あんなのに勝てるわけがない!!)」


ナルト「(こいつを倒すには、もうこの手しかねェ!!)」


ナルト「サスケェ!!」



吹き飛ばされたナルト君が、鞄から出したナニカをサスケ君に向かって投げる。



サスケ「!」


  パシッ


サスケ「!!」


サスケ「(なるほど。そういうことかよ、ナルト・・・。お前にしちゃ上出来だ)」



受け取ったナニカをサスケ君が広げる。

それは大きな・・・



再不斬(分身)「!」



サスケ「風魔手裏剣、影風車!!!」



再不斬(分身)「手裏剣なぞ俺には通用せんぞ!」



構わず、高く上に跳躍したサスケ君が風魔手裏剣を投げる。

真っ直ぐ、再不斬の分身に向かっているようで本当は・・・



再不斬(分身)「!!!」



再不斬&分身再不斬「「なるほど。今度は本体を狙って来たって訳か・・・。が、」」


再不斬「甘い!」



また簡単に風魔手裏剣も片手で止められる。

だけど、



  スゥ・・・


再不斬「!!!」


再不斬「手裏剣の影に手裏剣が・・・!」


カカシ「(これは影手裏剣の術!!)」



サクラ「(死角に2枚目の手裏剣が・・・!?)」」



再不斬「が、」


右手を水牢につけたまま、ジャンプして2枚目の風魔手裏剣を避ける。


再不斬「やっぱり甘い!」



サクラ「!!」
サクラ「(避けられたァ!!!)」


サスケ「、(ニヤ」


セツナ「あぁ・・・」



なんだ。

そーいうことか。



  ボンッ!!



タズナ「!!」


サクラ「え?」


アカネ「おぉ!」



カカシ「!」



再不斬が避けた2枚目の風魔手裏剣が―――ナルト君に変わった。



ナルト「(ここだぁっ!!)」


再不斬「!?」





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