とある宝石の唄

□転生→宝石〈6〉
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暖かい春の陽気を感じ、共に冬を過ごした私とアンタークは今日、皆を起こす事にした

…したんだけど、うん


『やっぱ気不味いよぉ…アンタークゥ…』


アン「もう5回目だぞ!?いい加減覚悟決めろ!!」


頭を抱えてアンタークを引き止めること、アンタークは5回目と言ったが時間に置き換えると2時間程だ


『だってさぁ、だってさぁ…!12年だよ?私達という存在からすれば、それこそあっという間かもしれないけれど…換算したら約4380日も寝てたんだよ?』


『皆本当に心配してただろうし、そりゃ元気な姿を見せて安心させてあげたいけれど、なんかもうどんな顔して話せば良いかちょっとまだイメージトレーニング出来てないというか…』


アン「お前…案外ネガティブなところあるんだな…」


意外そうにアンタークは私を見ていた


『当たり前だよ…私だって別に年中お気楽ってわけじゃあないんだからさぁ…』


アン「そうか、まぁ気にしなくていいだろう」


アン「皆、お前が起きた事を、喜びこそすれ怒る事などきっとしないだろうさ」


そうかなぁ、と不安そうな顔で返す私に、アンタークは頷いて言ってくれた


アン「むしろお前は、ジャスパーは皆が怒ると思っているのか?」


『……』


そうだ、ここの皆はひどく優しいんだ
優し過ぎて心配してしまう位…


アン「お前はいつも通りに、今まで通りに皆と接すればいいだけだ、違うか?」


『…それもそうだね』


あまりの正論に何も言えない、やっぱりアンタークはそういう言葉による諭し方は上手い
団体行動が苦手なんていうけれど、彼自身の優しさは団体行動には欠かせないものだ


『アンタークはさ…皆を起こした後は、毎年どうしているんだっけ?』


アン「言っただろう、少しだけ報告をして、オブシディアンやレッドベリルに武器や服について意見を少し話して…あとは眠りにつく」


『そうだったね、あのさ』


アン「なんだ?」


『アンターク、すごい頼もしかったし、楽しかった…いつも、そして今年も……ありがとう』


また冬に起きれたら手伝ってもいいかな?そう聞く私にアンタークは少し口角を上げて、仕方ないなと言ってくれた
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