小説2
□お泊り
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朝、ちょっと早めに学校に着いた夏菜子。教室には寄らずに職員室横の生徒会室に直行する。
「・・おじゃましまーす・・・」
初めて入る部屋に緊張して挨拶をする。
「あっ!夏菜子ちゃん おはよー」
中から聞こえる声に一気に緊張が解ける。
「えっ?本当にいつも早いんだね 何してんの?」
「んー・・いろいろ てか、夏菜子ちゃんこそどうしたの?こんなに早くに」
やっぱり生徒会長の彩夏はあーりんではなく彩夏なわけで、ちょっと年上な感じに戸惑いながらも話を続ける。
「今日さ、何時に帰れそう?」
「今日は・・生徒会も何もないから早く帰れるよ。なんで?」
「明日お休みでしょ・・だからこの前言ってたお泊りw
「うん!え?夏菜子ちゃん泊まりに来てくれるの?」
「お邪魔じゃなければ詩織と一緒n
「うん大丈夫!ママに連絡しとくから絶対に来てよね!やったー!おっとまり!」
この生徒会長さんは実は二重人格ではなかろうかと時々思う。
放課後。スクール近くのカフェでくつろぐ二人。そこへ髪を振り乱し駆け足で走ってくる彩夏。
「はぁはぁ〜 おまたせ!」
「ちょっとあーりん!まだその辺にうちの生徒いるよ!」
「だってー 楽しみなんだもん!それに・・抑えるのも・・もういいかなって」
(いやいや・・素のあーりんで生徒会長やったら、ちょっと怖いんだけど・・)
2人は顔を見合わせると苦笑いをする。それを感じ取った生徒会長は少しムスッとして歩き出す。しかしすぐに向きを変えると
「では、牧田さん 浅井さん参りますわよ!着いていらして」
「彩夏様!お待ちになって〜」
面白くなって悪乗りする詩織に呆れながらも、後を追いかける夏菜子。2人の肩には少し大きめのバッグがゆさゆさと揺れていた。