小説2

□花火大会
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「だから、詩織はもう少し考えてから買いなさいよ〜」

「いいじゃんよー すぐ食べたかったんだしー」

「どうすんのよ こんなに食べれんの?」

「もー 夏菜子は詩織のお母さんですかー?」


出会ってから数か月が過ぎ、季節は夏を迎えようとしていた。
あれから過ごした二人の時間はとても心地よくも、二人でいることになぜか寂しさも感じていた。
詩織は私の前では常に明るくまるで妹みたいに感じながらも、同年代の他の女子とは接するのを避けていることが気がかりではあった。私が用事がある時は一人でいるのもあわあせて・・
時代が進化し、いくら文明が便利になろうとも変わらない風習もあるわけで。
今日は二人で花火大会に来た・・・のはいいが、詩織はもっぱら屋台に夢中。

「おっ!ねえねぇ!あったよ たこ焼き!」

「本当だー ってまだ買うの?」

「でもたこ焼きさんだy・・・あっ・・」

いきなり詩織の顔が険しくなり、私の後ろに隠れるように移動する。

「ちょっ?どうしたn

「・・・ごめん 少しの間このままでいて・・・」

震えるような声で言う詩織。前を見ると、ちょっと派手目な服装に身を包んだ3人の娘たちがこちらに向かって歩いてきている。

「中学の最初・・・・ちょっといじめられてて・・・」

後ろで服の袖をつかみ、静かにつぶやく詩織。夏菜子にも色々なことが一度に納得できた。このままやり過ごそうかとも思ったが・・・

「ちょっと話させてもらってもいい?」

「「「エッ??誰あんた??」」何?いきなり?」

「いいから、ちょっと来て!」

「ちょっと夏菜子!いいから・・・」

最初は驚いた様子ではあったが夏菜子の後ろにいる詩織に気づいたのだろう。三人は顔を見合わせると黙って二人の後をついてくる・・
夏菜子の袖をつかみながら歩く詩織は後ろを振り返ることも出来ず、気が気ではない。

屋台の後ろの死角に移動したところで二組は対面し、夏菜子が腰に手を当て勢いよく話し出す。

「ねえ! ちょt・・・」

「ごめん!詩織!」「「本当にごめんなさい!」」


いきなり頭を下げる3人に、出鼻をくじかれ2人は唖然とし顔を見合わす。

「「えっ・・・?」どうゆうこと」
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