小説2

□日常
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「       ・・・ですねー」
「もうさ、明日休みの人はこのまま一緒にオールで騒いじゃおうかー あっははは・・」
「なんでだよ!」
「あー そーゆーのは最年長一人でやってください」
「あっはははは・・いや、やっぱそれはちょっと無理だわ!」
「ホント年考えて下さいね」

「じゃー ね そろそろ本当に締めますかね」
「そーだね おなかすいたし」

「「「「えーーー」」」」

「しつこいよ! 何回やるんだよ はいはい、もう終わりで〜〜す
では・・ 以上私たち今会えるアイドル 「「「週末h・・・・・・・





「    ・・さい! 夏菜子!起きなさーい!!」

急にカーテンを開けられ眩しい日差しが入り込む。

「ん〜・・・・・・」

勢いよく布団をはぎ取られ、仕方なく上半身を持ち上げる。左目だけ薄目を開けベットの上であぐらをかき、パジャマの下から脇の下をポリポリとかく。

「おっはよ! もー あなた女の子でしょ〜」

時計を見ると針は11時を指そうとしていた。

「ふぁー・・・お母さんおはよ・・・」

大きくのびをして女性にしては大きな背中に向かって挨拶をする。

頭に少し残る夢のかけら・・・時々見る不思議な夢 
光の海と大歓声に包まれた熱くも優しい空間・・そして両隣には笑顔の・・・

「ほら!さっさと着替えて!お父さんがまた出前お願いねって!!」

切れの悪い返事をし、もそもそとベットから降りると足元にまとわり着くいつもの感触。それを抱き上げ優しく抱きしめる。

「たま おはよ」

AI内蔵ペット【犬型】診察機能付総合機器:通称ラクセル。抱きしめるだけで脈拍・体温などから健康状態も判断してくれる。ワンワンとご機嫌な声は今日も体調に異常がないことを教えてくれている。

「さっさと着替えてよ!ほんと夏菜子はやること遅いんだからー」

そう言い残し部屋から出ていく後ろ姿に

「遅くないですー」

軽く反抗し、洋服タンスからお気に入りの服を取り出す。赤い縞々のTシャツに腕を通しながら愛犬に話しかける。

「また出前の手伝いだって!ほんとに平成時代なんだからー うちも宅配ドローンとか使えばいいのに・・・ねえ」

下に降りていき遅めの朝ご飯を流し込む。

「たま モニターつけて んと・・天気予報」

「ぁん!」

壁に掛けた西洋の風景画がスライドし日本地図と周辺地域の地図が映し出される。

「雨は・・降らないみたいね!  たま ありがと 消していーよ」

「ぁん!」

パックの野菜ドリンクを飲みながら、食器をシステムキッチン横の自動洗浄コンテナに放り込む。軽く洗面を済まし、赤いゴムで髪の毛を後ろに束ねながらリビングを抜け裏口で靴を履く。アルミ戸をスライドして開けると湯気で湿度の高く感じられる古臭いコンクリート敷きの厨房に通じる。

「おう夏菜子!さっそく悪いが3件ほど出前してきてくれ、もう少しでできるから」

勢いよく湯切りをした自慢のそばを容器に入れる流れるような動作。その横をちょこちょこと通り抜け運搬用のBOXを用意する。


「行ってきまーす!!」

数分後、電気三輪車を軽快に操る一人の少女が市道に飛び出し、坂道を勢いよく上っていく。頭上に広がる雲一つない青空はどこまでも続いていた。


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